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〜恋side〜
19時
「ん…?」
目をさますとそこは寝室で、近くに琉がいないことに恋は不安を感じる。
慌てて起き上がろうとしたところで、頭がフラッとして、そのまま布団に倒れ込む。
軽い目眩を起こしたらしい。
それでも琉の顔が見たくて、恋は無理に起き上がる。
気合だけで歩き、階下に降りてリビングに入ると、キッチンに、恋が求めた人がいた。
「起きたか?」
優しい笑顔の琉が振り返る。
顔を見たら不思議と安心して、さっきまで我慢していた目眩がまた襲ってきて、ふらりと倒れそうになる。
「大丈夫か?!」
慌てて琉が恋の体を支える。
「ごめんなさい…」
「なんで?」
「演技の邪魔…しちゃったし…」
ぼーっとする頭を必死に働かせ、体重を預けてしまった琉の腕から離れられるように体を起こそうと力を入れる。
「…うわ…っ…!」
だが今度は反対側に倒れそうになり、また琉が腕を伸ばして受け止める。
「おいおい…無理して起き上がろうとすんなよ。」
琉はそのまま恋を抱き上げてソファに座らせてくれる。
だがソファに座ってもなんだかグルグルと視界が歪む。
「恋の涙見たら、なんか、こう、グワァーッてなってさ…多分、これが俺が掴めてなかった感情だと思う。」
琉がそう言って恋の頭を撫でる。
気持ちはとても落ち着いているのに、視界はグルグル回るままだ。
「琉さん…」
「ん?お腹すいたか?ご飯出来てるから食べるか。」
そうじゃないんだけど。
恋はそう思いながら琉の背中に手を伸ばす。
でもそれは届かず、視界がぐにゃりと歪んで、ソファからずり落ちた。
「ーーー!」
琉が何か言っているが、恋にはそれが聞こえないまま、意識を手放すことしかできなかった。
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〜琉side〜
「琉さん…」
何か言いたげに恋が琉を呼ぶ。
「ん?お腹すいたか?ご飯出来てるから食べるか。」
お腹でも空いたのかと思い、そういえばもういい時間だな、などと考える。
ソファに座る恋を置いて、用意しておいた恋が好きな和風スパゲティを取りに行く。
だが、ドサリ、という音がして琉は振り返る。
「恋!恋!!」
恋の呼吸は荒くなっていて、どう考えてもおかしい。
目の焦点が合っていないし、琉の声は届いていないようだ。
琉は焦った。
必死に呼びかけ、手を顔に添えると、頬が熱い。
「熱…?!」
首に手をやると、相当な熱さだ。
恋が熱を出したといえば、昨年の秋くらいなもので、あの時は翔也たちに看病を手伝ってもらった。
正直どうしたらいいかなど分からない。
琉はとりあえず恋を2階に連れて行き、ベットに寝かせる。
そしてスマホを手に取り、零に電話をかけた。
『はい、もしもし、鈴木です。』
「あ、赤津です。」
思った以上に情けない、焦りを帯びた声が出た。
『どうしました?』
「…恋が、熱を出したみたいで…その、原因もわからなくて。」
『わかりました、もう仕事終わりましたので、そちらに行きます。』
「え、いいんですか?」
『はい。今日は遥が車で来てくれるらしいので、これから行きます。30分ほどで着きます。とりあえず首と脇と鼠蹊部を冷やしておいてください。』
「わかりました。」
琉は零に言われた通りのところを氷袋で冷やし、荒い息を繰り返す恋の頭を撫でながら、零の到着を待つことにした。
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