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〜恋side〜
「ん…っ…」
目を覚ますとすぐにウサギのぬいぐるみが目に入る。
そして次に、琉の、ほどよく筋肉のついた背中が目に入る。どうやら着替えているらしい。
「お、起きた?」
恋が起きたのに気づいた琉はTシャツを着て枕元に寄ってきた。
「…なんじ…ですか…?」
「7時。おかゆ作ってあるけど食べるか?」
恋は少し考えて首を横に振る。
頭は痛いし、昨日泣いたせいもあって瞼が重く、体もだるい。あまり食欲はなかった。
「そっか…あとでちゃんと食えよ。俺仕事行かなきゃいけねえけど…誰に来てもらう?」
誰かに来てもらうことは絶対なのか、と思い、恋は少し笑った。
「一応来れる人は…明希くんと、千秋くんと、あ、あと遥さんもいるぞ。」
遥の名前が出てきたことに少し驚く。
「昨晩、鈴木先生が来てくれたんだよ。その時に遥さんも来てさ。さっき連絡があって、もしよければ行きますよって言われた。」
「…誰でも…いいです…」
「んー…まあ頼まなくても明希くんと千秋くんは来てくれそうだしな…遥さんに頼んでおく。」
そう言って琉は恋の頭を撫で、頬に手を添える。
恋はその手に擦り寄る。
「今日…何時に帰ってきますか…」
「できるだけ早めに帰る。でも買い物してこないとだから、18時は過ぎるかな…」
いつもならなんとも思わない帰宅の時間だが、今日はやけに遅く感じた。
「家出るまではここにいるから。」
琉はもう朝ごはんを食べたらしく、そう言ってベットに腰掛ける。
「熱計ろうな。」
そう言われて体温計を入れられる。
音がなり、琉が体温計を見て眉を顰める。
「38.7か…朝でこんだけ高いとか大丈夫か…?」
昨晩よりは幾分かマシだが、本格的に体調を崩してしまったらしい。
滅多に熱など出さないが、出した時はひどくなるのがいつものことだった。
それが今回は特に顕著で、いつも以上に食欲もなく、体がだるい。
「琉さん…スマホとってもらえますか…」
Rに休みの連絡を入れなければならない。
「ん、どうした?」
恋にスマホを手渡しながら、そう尋ねてくる。
「Rに連絡入れないと…ゴホッ…ゲホッ…」
「俺がかけてやるから、貸して。」
何か言う前にスマホを取られ、琉が電話をかける。
「…もしもし。青木恋の婚約者の赤津と申します。」
さらりと婚約者などと言われ、恋は恥ずかしくなる。
嬉しいのはもちろんだが、次の出勤のときにはおそらく質問攻めにあうのだろうな、などと考えた。
「恋なんですけど、体調を崩しまして、かなり熱が高いので…1週間ほどお休みいただきたいんですが。本人が電話をするには少し辛い状態なので代わりにお電話させていただきました。…はい、はい。ありがとうございます。はい。失礼します。」
電話を切るとスマホを恋に渡してきて、恋はそれを受け取る。
「お大事にってさ。こっちのことは心配しなくていいからゆっくり休んでくださいって。」
「ありがとうございます…」
「さて、氷替えとくか。」
琉はそう言って立ち上がり、一度下に降りていく。
恋は大きく深呼吸した。
看病してもらうなんて、もう何年ぶりだろうか。
昨年の秋もそういえば看病してもらったか、と思い出して、恋はクスリと笑った。
ただの風邪なのに、こんなに不安になるとは思っていなくて、琉がいてくれることに、心底安心している自分がいた。
深夜、何度も起こしてしまったのに、その度に琉は優しく背中をさすって寝かしつけてくれた。
それに安心して、つい甘えてしまったが、良かったのだろうか。
そんなことを考えていると琉が戻ってきた。
琉は手際よく氷を取り替え、額のシートも取り替えた。
「よし。なんか食べたいものとか、欲しいものある?」
恋はきょとん、とした。これ以上何か求めるなんて、そんなワガママはできないとも思った。
「恋、辛い時くらい甘えてくれよなー。」
そんな恋に、琉は予想外の言葉を投げかける。
「俺、恋が甘えてくれるの結構嬉しいんだからな。」
琉はそう言うとふわりと柔らかく笑う
「…っ…ぎゅって…してください…」
恋が体を少し起こしてそう言うと、琉はまた微笑んで、そっと恋を抱きしめてくれる。
その温もりに、また睡魔が襲ってきた。
「あ、恋、寝るのはいいけどその前に薬飲んで。空腹時でも飲めるやつもらってるから。」
琉はそう言って水と薬を渡してくる。
恋がそれを飲むと、琉がまた抱きしめて、トントンと背中を撫でてくれて、恋はスゥッと眠りに落ちた。
「恋、好きだよ。」
眠る直前に聞こえた琉の優しい声に、ひどく安心して、心の中の不安が溶けて無くなっていくような、不思議な感覚がした。
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