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〜琉side〜
「っ…はぁ…はぁっ…あつ…琉さん…あつい…」
家に入り、とりあえずソファに恋を座らせて水を飲ませると、恋は薬のせいか、もう限界のようだった。
「は…はっ…は…」
呼吸が荒く、目が潤んでいて、なんとも煽情的だ。
「…っ…恋…」
琉は恋の頬に手を伸ばす。
だが、その手は恋の頬に触れることなく、パシッという乾いた音を鳴らしてはたかれた。
「あ…ご、ごめんなさいっ…」
「恋…?」
「ごめんなさい…ごめんなさい…」
「恋、大丈夫だから、どうした?」
「わかんな…っ…はたくつもりなくて…」
恋はカタカタと小刻みに震えていて、目には涙をいっぱい溜めている。
「大丈夫、大丈夫だから。な?大丈夫。」
そう言って恋にまた手を伸ばす。
今度はぎゅっと拳を握りしめて、ガタガタ震えながら恋は俯いた。
恋の肩をそっと抱いて優しく抱きしめる。
そして背中を撫でる。
それでもまだ恋は震えていて、怯えている。
「…恋…何があったか話せる…?」
恋は一瞬固まって、またガタガタと震えだした。
「あ…だめ、触んないで…!」
そして琉を突き放してボロボロと涙をこぼす。
「汚い…俺汚いから…触っちゃ…だめっ…」
みんなと一緒にいたときは我慢していたのか、体の震えが止まらないようだった。
恋が琉を拒絶したのは初めてで、琉は戸惑った。だがそれより、恋の不安を煽らないことが先決だと思った。
「恋、大丈夫、大丈夫だから。怖くないよ。大丈夫。話さなくていいよ。ごめんな。言わなくていいから。」
優しくそう話しかけてやるが恋はガタガタ震えたままだ。
「お風呂、入ってくるか?」
このまま1人にするのは不安だったが、自分と一緒にいても逆効果な気がした。
「シャワー浴びてさっぱりしておいで?」
琉がそう言うと恋は少し迷って頷いた。
「ん、いってらっしゃい。着替えは置いておくから、行ってきていいよ。」
恋は言われた通り浴室に向かう。
足取りはフラフラしていて、まだ薬が抜けていないようだ。
琉は着替えとタオルを用意するとスマホを手に取り、翔也に電話をかけた。
『…はーい、どうした?』
「あ、悪い。明希くん、どう?落ち着いてる?」
『うん、大丈夫だよ。』
「明希くんが大丈夫そうなら、今日の話聞きたいんだけど…」
明希からきたLINEで、恋が男たちに言い寄られている、とは言っていたがそれより詳しいことはわからなかった。
『ちょっと待ってて。』
なにやら向こうで話している声が聞こえ、しばらくして明希が電話口に出た。
「明希くん、突然ごめんな。」
『いえ!恋…なんかあったんですか?』
「うーん…かなり怯えてるから…なにがあったか知りたくて。」
『えっと…俺もよくわからないんですけど…助けに入ってくれたのは傑だし、俺恋に言われてすぐにトイレから出ちゃって。だから何されたのかとかよくわかんなくて…でも多分…れ…レイプ…されてて…』
明希は言いにくそうにしながらそう言った。
レイプと聞いて、ドクン、と心臓が跳ねた。
「傑くんに聞けばわかる?」
『た…多分…聞いてみますか?』
「いや、許可とって連絡先がほしい。」
『わかりました。翔也さんに代わりますね。』
『はーい。』
「悪かったな、突然かけて。」
『それはいいけど、恋くん大丈夫なの?』
「今回は本当にやばいかも。今まで恋から拒絶されたことなんてなかったから…」
『そんなに怖がってるの?』
「多分、みんなでいた時は我慢してたか気が張ってたんだと思うんだよな。」
『そっか…なんかできることあったら言えよ。』
「おう、ありがと。じゃあまた連絡する。」
電話を切り、ソファに体を預ける。
「はぁ…」
さっと前髪を掻き上げると、ため息が出た。
こんなことは初めてで、どうしていいかわからなかった。
(どうしたらいいんだよ…)
何もできない自分が情けなくて、琉はまたため息をついた。
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