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〜琉side〜
「…はぁ…」
「おーい、大丈夫か。」
「え?あ…ああ…」
「完全にうわの空じゃん。恋くんと何かあった?」
撮影の合間、ぼーっとしていた琉の元に翔也がやってきた。
昨晩、恋に拒絶され、ショックだった。
だが、それよりも、恋が自分に怯えていることが申し訳なかった。
自分がそばにいても、安心させてやれない。
それほど恋にとっては怖いことだったのだと思うと、やるせない気持ちでいっぱいだった。
朝は、顔を合わせない方が怖がらないかと思い、そっと出てきたが、恋のことが心配でたまらない。
ちゃんと眠れたのか、ご飯は食べたのか、体調を崩していないか。
気になることは山ほどあって、全く集中できなかった。
「…恋に…何もしてやれないからさ…」
「昨日、何があったの?」
傑から聞いた話だと、3人から無理やりされていたらしい。
傑が助けに入った時は、もう恋はただ震えていて、目に涙をいっぱい溜めていたそうだ。
傑が明希から聞いた話によると、絡まれたところを明希だけ先に外に出し、一人で残ったようなのだ。
翔也に傑から聞いた話をすると、眉を顰めた。
「明希ちゃんを庇って一人で中に残ったってこと?」
「多分な。一人でなんとか逃げるつもりだったんだろ。」
「恋くんって本当、明希ちゃんのことになると無茶するよね…」
「明希くんに何もなかったのはよかったけど…」
「だからって恋くんが一人で背負うことじゃないじゃん。」
「おう…俺がさ…少しでも和らげてあげられたらいいのにさ…」
「…明希ちゃんとさ。暗闇を克服する訓練、始めたんだよね。」
「え…?」
「夏祭りの日から。電気消して、エッチするの。できるだけ優しく、できるだけ俺を意識させて。明希ちゃんの調子が良くないときは、一切そういうことはしないで、電気を消して抱きしめて寝るだけ。」
まさか二人がそんなことをしていたとは知らなかった琉は驚いた。
「嫌な記憶を、いい記憶で塗り替えられたら、トラウマって、ある程度克服できると思わない?それと、今は、怖がってて一緒にいる方が辛そうだな、って思うなら、少し距離置くのもアリだよ。まあ、恋くん次第だけどね。」
「翔也…ありがと…」
「いいっていいって。ちゃんと恋くんの様子見ながらね。まあ、しばらくエッチはしない方がいいだろうけど、抱きしめたり撫でたりとかはいいんじゃないかなぁ。」
「…そっか。そうだな。」
翔也の話を聞いて、いくらか気分が落ち着き、心が軽くなった気がした。
「二人なら大丈夫だよ。なんなら紘さんにも聞いてみたら?千秋ちゃんも似たようなことになったことあるわけだし。」
「おう、少し聞いてみるわ。」
「撮影再開するよー!」
監督の声がかかり、二人は位置に戻る。
琉は数分前とは違い、しっかりとした顔つきになっていた。
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