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〜恋side〜
「ん…」
目をさますと、ベットの上で、恋は驚いた。
そしてそっと隣に目をやると、恋の手を握ったまま、眠ってしまっている琉の姿がある。
(琉さんが…運んでくれたんだ…)
そう思って、きゅっ、と手を握ると、その手を琉が優しくさするようにしてくれる。
恋が怖い夢を見て、手に力が入ったとでも思っているのか、その手つきはすごく優しかった。
「りゅう…さん…」
控えめに名前を呼ぶと、琉が顔を上げた。
「起きたのか…」
「琉さん…ぎゅって…してくださいっ…」
「恋…それは…」
「お願いっ…俺のそばにいるのは…琉さんだって…俺に…わからせて…っ…」
今にも涙がこぼれそうだったが、泣いてはいけない気がして、必死にこらえる。
琉は恋の目をじっと見つめて、右手を頬に伸ばしてくる。
つい、体がこわばるが、ぎゅっと拳を握って耐える。
琉は頬に優しく触れて、その手を後頭部にずらしながらそっと恋を抱き寄せた。
空いた左手で肩を抱かれ、恋の体は琉の腕の中に収まる。
優しく後頭部を撫でられ、胸元からは琉の鼓動が聞こえる。
トク、トク、という穏やかなリズムを聞いていると、不思議と体から変な力が抜けていった。
「…俺は、ずっとそばにいるから。離れたりしないから。ずっと、そばにいる。恋のそばにいるよ。」
どうして。
どうしてこの人は欲しかった言葉をくれるのだろうか。
不安をすべて溶かすような、優しくて温かい言葉。
「っ…ぅ…琉、さんっ…」
「泣いていいよ。怖かったよな。ごめんな、助けてあげられなくて。何もしてやれなくてごめんな。でも、そばにいるから。恋のそばにいるからな。」
そう言われたら、もうほとんど出し切ったと思っていた涙は、際限を知らないように溢れてきた。
「怖かったな。もう大丈夫だよ。俺がそばにいるからな。」
「うっ、ううっ…りゅ、さんっ…ふぅ…うぅ…うぁぁぁっ、うっ、うぁぁぁっ!」
一度声を上げて泣き始めたら、もう止まらなかった。
2日ぶりに触れられた温もりが心地よくて
頭を撫でてくれる優しい大きな手に安心して
今までの怖かった気持ちが、すべて受け止めてもらえた気がして
琉の背中に腕を回して、子供のように泣きじゃくった。
琉はその間ずっと、恋を優しく抱きしめて、頭を撫でたり、背中をさすったりしてくれた。
「ひっく…うっ…っく…りゅ、さんに…あってから…ないてばっかり、です…」
少し落ち着いてそう言うと、琉は優しく微笑んだ。
「いいんだよ、泣いて。辛いって、怖いって言っていいから。全部受け止めて、そばにいるから。恋が俺を嫌いにならない限り、俺はずっと、そばにいるよ。だから、泣いていい。全部受け止めるから。」
「っ…りゅうさんのばか…せっかく、とまって、たのにっ…」
また涙が溢れてきて、恋は笑いながらそう言う。
「…笑った。泣いていいけど、その分たくさん笑顔にしてやるから。だから、いっぱい泣いて、いっぱい笑って。」
「はいっ…」
(どんどん琉さんを好きになるなぁ…)
一度口にした気持ちは、膨らんでいくばかりだということを、恋は改めて実感したのだった。
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