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〜恋side〜
23時
(まだ帰ってこない…)
家に帰って、入浴を済ませ、ベットに入ってスマホをいじっていた恋は、起き上がる。
琉からの連絡は来ていないし、帰ってくる気配もない。
さすがに朝から働いた恋は、眠気に襲われていた。
しばらくどうしようか迷って、結局先に寝ることにした。
恋は、ドアが開いた音で目を覚ました。
スマホをつけてみると時間は0時をすぎている。
「琉さん…?」
部屋を出て、リビングに降りてみると、琉の姿があった。
「お帰りなさい…遅かったですね…」
眠さに目をこすりながら、恋はそう言う。
「ん、起こした?ごめんな。」
「いえ…シャワー浴びます?」
「いや、明日朝浴びて行く。」
「わかりました。」
「寝てたんだろ?寝ていいぞ。」
「ん…琉さんは…?」
「明日の台本確認しておきたいから。先に寝てな。」
いつもならなんとも思わないようなことも、今日は寂しく感じた。
それは、琉が女と一緒にいるところを見たからだろうか。
「おやすみなさい…」
でも、何かを聞くこともできないし、眠さで頭も働いていない。
結局恋は琉に一言だけ言って2階に上がった。
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翌朝
いつも通り6時に目が覚めた恋は、隣に琉がいないのに驚いた。
だが、昨晩、朝シャワーを浴びると言っていたことを思い出し、1階に降りる。
だが水の音は聞こえない。
おかしいな、と思いながらリビングに入ると、テーブルの上にメモ書きがあった。
仕事で早く出ることになった。
ごめん。朝ちゃんと食べろよ。 琉
「…なんか…変なの。」
今まで、こんなことはなかった。
同窓会の一件の時は、恋に気を使って会わないようにと早く出て行っていたが、それ以外で琉が恋に何も言わずに早朝に出て行くなんてありえなかった。
仕事の時は先に夜に言われていた。
それはきっと、恋が早起きしないようにという配慮だろう。
琉を疑ったりしたくないのに、なぜか不安になることが重なる。
琉はもともと、ゲイではない。それは恋も知っている。
それなら、自分より魅力的な女性が現れたら、そちらに傾くのも無理はないと思った。
「…浮気、なのか?」
ポツリと呟いたその言葉は、思った以上に恋の心に重くのしかかる。
(どうせ別れなきゃいけないなら…もっと早い方がよかったな…)
そんなことを思いながら、これからどうしようかと考える。
でも、自分から切り出すのは嫌で、琉から言われるのを待つことにした。
その日から、恋は、琉をなんとなく避け始めた。
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