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〜恋side〜
11月9日
「はぁ…」
「…あのさぁ。人を呼びだしといてため息ばっかつくのやめてくんない?なんなの?どうした?」
「傑うるさい。」
「えぇー…なんで俺怒られんの。」
恋は傑と2人でカラオケにやってきていた。
昨日、琉が休みだと聞かされて、急遽傑に連絡を取って付き合ってもらっているのだった。
明希や千秋と一緒に過ごせば、すぐに仕事だというのが嘘だとばれてしまう。
だから琉とは連絡を取らない傑に白羽の矢を立てたのだ。
「で、どうしたのさ。急に俺なんか呼び出して。」
「俺と出かけんのやなの?」
「いや、そうじゃなくて。」
「別に、カラオケ行きたかっただけだよ。俺もたまには友達と行ってみたいの。」
「それならなんで俺だけなの?明希も呼べばいいじゃん。あとはなんだっけ、千秋くん?この前紹介したいって言ってたの…その子も連れてきても良かったわけじゃん?…まあ、俺が信用できないのはわかるけど。」
「いや、そうじゃない。明希と千秋を呼んだらバレるから。」
「…何が?」
「嘘が。」
「は?」
意味がわからない、という顔をしている傑に、ここ最近のことを話す。
そして今は、琉と過ごしたくないということを伝えた。
「浮気かどうかなんてわかんないじゃん…」
「わかんないけど…もし、そうだったら、これ以上好きになったらやばいじゃん。もう今でさえ離れたくないのに、これ以上好きになったら、別れるのが辛すぎる。」
「なんでお前はそんなネガティブなんだよ…なんで別れる前提なんだよ…」
「だって、もし、琉さんに他に好きな人ができたら、それもその相手が女なら、俺は譲るしかできない。」
「今の時代同性婚が当たり前なのに、なんでそこを女だから譲るってなるんだよ。」
「男の俺より何かと楽だろ。結婚するのだって、妊娠するのだって。まだ偏見も残ってる同性婚より安定してるのも間違いない。」
「そりゃそうかもしんないけど、女と一緒にいたくらいで浮気って、そりゃちょっと短絡的すぎるぞ。」
「とにかく、これ以上好きになったらもう手遅れだから。向こうから何か言ってくるまでは少し距離置く。」
「何かって…え、女について説明無しなの?」
「まあ…初めて会った時は琉さん酔ってたし、二度目の時は俺も眠くて聞かなかったし。」
「聞いてみれば?」
「それで好きな人なんだって言われたら俺立ち直れない。」
「つか酔ってても一緒にいたやつのことくらい説明しねえ?普通。次の日とかにさ。」
「わかんないよそんなん。」
カラオケに来たというのに、全く歌うことなく話し続ける。
「まあとにかく、浮気って決まったわけじゃないんだし、そんなに落ち込むなよ。」
傑はそう言ってくれたものの、恋はやはり気になる。
琉は確かに女性は苦手らしいが、惹かれる人に出会ってもおかしくはない。
そう考えるだけで、やっぱり琉とは距離をおかないと、と思ってしまう。
せめて、酔って帰ってきた翌日、一緒にいた女の人がどんな人なのかという説明くらいあれば、安心もできるのだが、琉はその話を一切しなかった。
その後、20時までカラオケで時間を潰した恋は、傑と夕食を食べ、帰宅した。
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