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#*92
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〜恋side〜
「え…ちょっと、琉さん…何するんですか!」
突然のことに驚いた恋は、そう言うが、まだあの時の感覚があり、やはり恐怖が先行する。
「なんで嘘ついた?」
「っあ…やだっ…」
首筋に舌を這わされ、体がゾクゾクとする。
「…やっ…やめてくださいっ…!」
「答えて。」
「っあ!」
服の中に手を入れられ、胸の先端を撫で上げられて声が出る。
どうしてこんなことになっているのか、恋は混乱していた。
琉は、セックスはしばらく待ってくれると言っていたのに、一体どうしたというのか。
「っや、やだ、やだっ…」
「恋。嘘ついたのなんで?後ろめたいことでもあるの?傑と浮気?」
「は…な、んでっ…」
どうして傑と会ったことがバレているのか。恋は驚いて目を見開く。
「なんで知ってるのか?スマホがたまたま見えただけ。別に傑と会うのがダメなんて言わないけど、なんで嘘つくの?嘘つくってことは後ろめたいことがあるってことだよな?」
もともと、傑と会いたかったわけではなく、琉と一緒にいたくなかっただけだ。
後ろめたいことなど何もない。
「なぁ、恋。」
「ひあっ!」
ズボンの上からの刺激に、甲高い声が上がった。
「やっ、やだ、やだっ!!」
「ふざけんなよ。何がやなんだよ。」
琉は完全に怒っている。
琉が怒ることなんてあまりなかったから、それに驚きつつ、なぜ自分が怒られなければならないのか、と思う。
元々、琉が酔っ払って、翔也と女と一緒に帰ってきて、翌日にはなんの説明もなかった。
それだけではなく、その女と2人きりで食事に行ったりもしていたようだし、なかなか生活時間も被らず、避けられているような気がするほどだった。
それならいっそ、自分から距離を置こうと思っただけなのに。
「傑とシたから俺とは嫌なのか?」
琉の言っていることがわからない。
「やっ、やめてっ…!」
必死で抵抗してみるが、琉の力にはかなわない。
「俺を避けて、傑と会って、満足か?傑とシてるから俺とはシなくても満足だよなぁ?」
琉がそう言った瞬間、恋の何かが切れた。
なぜ、傑とシたなんていうとんでもない勘違いが生まれ、自分が責められているのか。
元々疑わしい行動をしたのは琉の方だ。
確かに、何も言わずに避けたのは恋が悪かったかもしれない。それでも、だ。
恋に一言も女の存在を言わず、早朝から仕事に向かい、夜遅くに帰ってくる日々。
さすがに気になる。
いつか別れを告げられるくらいなら、いっそ距離を置いたらいい。そう思った結果だったのに。
恋は今までの抵抗をぴたりと止め、琉の頬を思い切り叩いた。
「は…?」
琉はそれに驚いて体を起こす。
それによって解放された恋は、ゆらりと立ち上がった。
「ふざけるのもいい加減にしてください。なんで俺が怒られてるんですか?そもそも浮気を疑われるなら琉さんの方です。」
恋は座っている琉を見下ろし、冷たい視線を向けた。
発された声も、ものすごく冷たく、恋は怒っていた。
「酔っ払って帰ってきた日といい、食事に行って0時に帰ってきた日といい、疑わしい行動をしていたのは琉さんです。確かに何も聞かずに避けていた俺も悪いですが、それは別れを告げられるならいっそ自分から距離をとった方がいいと思ったからです。」
もう、止まらなかった。
「それなのに、傑とシた?冗談もほどほどにしてください。早朝に出て、夜遅くに帰ってきて、琉さんの服から知らない香水の匂いがして。それなのになぜ、俺が疑われる羽目になるんですか?」
琉は何も言わない。
「挙げ句の果てに無理やりシようとするなんて、俺は、嫌だって言いましたよね?怖いからしばらくはやめてくれ、と言った時、琉さんは待つって言ってくれましたよね?それは嘘ですか?体が目当てですか?それがなくなったから女の人と会ってるんですか?まあもうどうでもいいです。今回のことは本当に失望しました。」
恋は心底イラついていた。
捲し立てるように言葉を紡いでいながら、あくまで感情的になることはなく、冷たい、抑揚のない声を発する。
「逃げて避けてた俺が言えることではありませんが、話し合う前に押し倒すなんて最低です。」
恋はそこまで言うと唖然としている琉を置いてリビングを出て、2階に上がる。
そして琉たちと初めて行った旅行の時に買ったキャリーバッグに、服やらなんやらを詰め込み、部屋着から外着に着替えると、また1階に降りる。
「あなたに出て行けなんて言いません。俺が出て行きます。今回のことはきちんと反省していただきます。」
リビングから出てきた琉にそう言い残すと、恋はキャリーバッグと貴重品やスマホなどを入れた小さなバッグを持って、家を出て行った。
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