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〜琉side〜
「あら、赤津さん?」
「…?あ、愛海さん。」
琉は明希と千秋から、恋はどうやら琉の実家にいるらしいという情報を得て、実家の方にやってきていた。
そこで偶然、愛海に会った。
「偶然!お家こっちじゃないわよね?」
「あー…ちょっと用があって。」
「そうだったの?よかったらお昼一緒にどう?」
「あ…いや、今日はちょっと…」
早く恋を連れ戻しに行きたい。
だが愛海は善意で誘ってくれているのだろうし、蔑ろにするのは申し訳ない。
曖昧に断る。
「時間ないの?」
琉の腕をきゅっと掴む愛海は、はたからみたらきっと可愛いのだろうが、琉の胸が高鳴ることはない。
琉が可愛いと思うのは恋だけだ。
もともと機嫌の悪い恋は、くっついてくる愛海にだんだんとイライラしてきた。
「あの、申し訳ないんですけど、俺今日は急いでて…」
「そうなの…?演技について話したかったんだけど…」
演技について、と言われると琉は弱い。
「でも遅くなったら弟さんに怒られちゃうのかしら…?」
「弟?なんで俺に弟がいるって知ってるんですか?」
「え?一緒に暮らしてらっしゃるんじゃないの?」
「…あれは俺の婚約者ですけど。」
「男性と婚約したって、本当だったのね。」
愛海が発する声が急に冷たくなる。
「私の方があなたを幸せにしてあげられるのに。」
その言葉に、琉の眉間にしわがよる。
「私は女で、赤津さんの子供も簡単に産めるし、鷹島グループの力は、赤津さんにとっても必要なはずよ。」
愛海は琉が不機嫌になっていることを知らず、勝手に口を開く。
「あんな子供やめて、私にしない?」
わざとらしく胸を押し付け、上目遣いをする愛海。
この瞬間、琉はキレた。
「…ふざけんなよ。恋が子供?お前にあいつの何がわかるんだよ。」
琉が発した声は冷たく、愛海に向けた目は氷のよう。
纏うオーラは絶対零度だ。
「俺のことを恋より幸せにできるって?どれだけ自分に自信があるのかしらねえけど、俺は恋以外愛さないし、恋以外に興味ない。演技の練習でちょっと関わったくらいで調子にのんじゃねえぞ。」
こうなった琉は、誰にも止められない。
いや、恋ならば止められるかもしれないが、その恋はいない。
翔也が恐れる、"ガチギレの琉"が、今、姿を見せている。
「女だとか男だとかそんなのどうでも良いんだよ。今時男でも子供産めんだろうが。俺はお前との子供なんか見たくもねえが恋との子供なら今すぐにでも作りてえ。」
愛海の表情がどんどんこわばっていく。
「てめえの香水の匂いとか、てめえの演技に付き合ったせいで恋は勘違いして出て行くし、それに飽き足らず恋はやめて自分にしろだ?ふざけるな。恋とお前を比べたって10倍は恋の方が可愛いね。」
恋とのスキンシップが足りていない琉の怒りは止まらない。
「頭撫でた時に照れながら嬉しそうにしたり、抱きしめたら擦り寄ってくるし、キスだけでとろけちまうし、俺の好きな食べ物覚えて、俺の好きな味で作ってくれる。帰りが遅くなっても待っててくれるし、甘えるのが下手くそだけどたまに甘えてきた時の可愛さはてめえなんかじゃ一生かかっても真似できねえよ。」
これを恋がこの場で聞いていたら、間違いなくリンゴのように真っ赤になっていただろう。
聞いている愛海は、怒りで顔を赤くしていた。
「あなた…誰に喧嘩売ってるのかわかってるの?!」
「鷹島グループの一人娘がなんだよ。あ?俺をクビにでもするか?役者として干すか?勝手にしろ。恋がいればそれで良い。だが恋に手出すつもりなら…」
その先は、琉の目が物語っていた。
纏うオーラだけで人を殺せそうなほど不機嫌だ。
「っ…絶対にお父様に言いつけてやる!」
そう吐き捨てて去っていた愛海。
琉のイライラは収まることなく、このまま恋を迎えに行くのは嫌で、琉は一度家に帰ることにした。
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