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〜琉side〜
雨が強くなってきて、雷も鳴り始めた頃、琉は実家に向かって歩いていた。
ふと通った路地から、聞こえた声に、琉はピクリと反応した。
まさか、と思いつつその路地を覗くと、震える恋と、恋を押さえつけて体をまさぐる男の姿。
「やだ…やだっ…!」
恋が震える声でそう叫ぶ。
昨日から続く不機嫌が収まらない琉は一瞬にしてキレた。
路地の入り口のあたりにあったゴミ箱を蹴り飛ばし、差していた傘は地面に転がる。
倒れたゴミ箱がガターン!と大きな音を立てる。
「なんだよ。邪魔すんなよ。」
「誰がそいつに手出して良いって言った。」
男に向かって発した声は、昨日愛海に発した声より数倍は冷たいものだった。
「あ?お前誰だよ。俺はなぁ、鷹島グループのお嬢さんに許可もらったんだよ。さっさと帰れ!」
「…ざけんなよ…」
鷹島グループと聞いて更に怒りが増す。
恋には手を出すなと、警告したはずだった。
琉は恋を押さえていた男を思い切り殴り飛ばした。
「…ってえな、何すんだよ!!」
「殺されたくなかったらさっさと行け。」
「はぁ?!てめえ誰に喧嘩売ってるかわかってんのかぁ?!」
機嫌を悪くした男は琉に掴みかかる。
「りゅ、さんっ…!」
「恋、ちょっと離れてろ。」
心配そうに見てくる恋に一言そう言って、掴んできた男の腕をギリギリと音がなりそうなくらい握りしめる。
「っ…てめえ…っ…!」
殴ろうとした男の手を掴み、腹を蹴り飛ばすと、男が吹っ飛んで奥のゴミ箱に当たった。
「っかは…」
「てめえが手出したのが誰かわかってんのか?あぁ?!俺の婚約者に手出してタダで済むと思うなよ。」
琉の怒りは頂点に達していた。
その怒りは当然収まるはずもなく、琉は倒れて咳き込む男に近寄ろうとする。
だが、その腕を恋が掴んだ。
「やめて…琉さん…」
雨に濡れた寒さと、恐怖で震える恋を見て、怒りより心配が勝った琉は、男を放置したまま恋のことを抱きかかえて歩き出した。
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