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〜恋side〜
17時
インターフォンが鳴り、恋たちは話をやめる。
「ちょっと行ってきますね。」
恋がドアを開けると、外にいたのは制服姿の貴也だった。
なぜか手には大きな紙袋がある。
「貴也くん?」
「恋さん、ど、どうしよう!!やばい、やばい!!」
「なに?どうしたの?」
「やばいやばいやばい!!!え、どうしよう!!やばい!」
やばい、と、どうしよう、しか言わないので全く状況がつかめないがかなり混乱しているらしい。
「とりあえず上がったら?」
「いい?」
「どうぞ?」
貴也を連れてリビングに戻る。
「あれ、貴也くん?」
明希に声をかけられると、貴也はブワッと涙を溢れさせた。
「えええええ?!」
「ちょ、どうしたよ、とりあえず座る?」
「え、ちょっと待ってこの子誰?」
「あ、翔也さんの弟です。」
千秋が遥にそう説明すると、納得したようだ。
「なに?どうした?いじめられた?どっか痛い?」
明希は矢継ぎ早に貴也に質問する。
「ちょっと明希、まず落ち着け。」
「貴也くん、どうしたの?」
千秋が優しい声色でそう聞く。
「あ、の、全然、悲しいとか、怖いとかそういうんじゃなくて、ちょっとパニクっちゃってたから安心したっていうか…いやほんと、泣くつもりはなかったです。」
ゴシゴシと目をこすり、そう言う貴也に、ひとまずホッとする。
「それで、なにがあったの?」
「あ、の。これって、明希さんたちがもらったぬいぐるみと同じやつですよね?」
貴也はそう言って紙袋の中身を見せてくれる。
それは確かに、恋たちが持っているものと同じ種類の、犬のぬいぐるみだ。
「同じのだね。」
「誰かにもらったの?」
千秋がそう聞くと、貴也は耳を赤くした。
「あの…奏さんがくれて…今日、学校終わったら、校門のところにいて、それで…」
「奏くんに渡されたの?でもなんで…?」
「なんか、この前、俺誕生日だったんですけど、そのプレゼントだって言われて…貴也くんみたいで可愛かったからあげる、って…」
そこまで話して、貴也は蒸気でも上がりそうなほど顔を真っ赤にした。
「しかも、LINE交換しよ、って言われて、なんかもう俺よくわかんなくなっちゃってここ来ちゃいました。」
「?それって奏くんって子は貴也くんのことが好きなんじゃなくて?」
遥がそう言う。
「えっ?!俺は奏さん好きだけど、奏さんが俺のこと好きとかないない!!」
「へぇ…貴也くん奏くん好きなんだ?」
ニヤニヤとそう言うのは明希だ。
「う、あ!違くて!えっと、そういう意味じゃないっていうか、そりゃ奏さんはかっこいいし優しいし大好きだけど…って違くて!!」
わたわたとする貴也に、恋と千秋は思わず笑う。
「やだー、可愛い!青春だねえ。」
遥もそう言って笑った。
「え?!や、だから、ほんと違くて!」
「もう隠さなくていーんじゃないの?この前のLINEの時からバレバレだからー!」
(しょーとけーき「10月28日」参照)
「うっ…」
「貴也くんかーわいい。」
明希と恋にからかわれ、千秋にもクスクスと笑われ、貴也は顔を真っ赤に染めた。
そんな時、貴也のスマホが震える。
「あっ…奏さん…!」
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奏と貴也のお話が気になる、というお声をいただきましたので、しばらくそのエピソードになります(^ ^)
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