アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
*136
-
※日付注意です。
〜零side〜
11月21日
「お世話になりました。」
夜勤明け、遥を迎えに来た零は、恋にそう言った。
「いえいえ。遥さん、体、お大事にしてくださいね。」
「うん。ありがとう!」
なんだか以前よりも仲良くなったような気がする2人に、零は不思議に思うが、遥が楽しそうなので良しとした。
「赤津さんも、ありがとうございました。」
「いや、俺ほんと何もしてないんで…体調、お大事に。」
「何かあったらまたいつでもどうぞ。」
「ありがとう。」
「ありがと!」
2人にもう一度礼を言い、零と遥は青木家をあとにする。
「車?」
「うん。」
「俺が運転しようか?零疲れてるでしょ。」
「いや、大丈夫。」
そう言うと、遥がじーっと見つめてくる。
「…うん、ダメ。俺が運転する。今日は体調いいし。」
「いや、大丈夫だって。」
「ダメ。零、仮眠取れてないでしょ。」
その言葉に零は、ばれたか、と思った。
患者が急変したり、急患がやってきたりと何かとバタバタしていたせいで、仮眠を取ることができなかったのだ。
「よくわかるな、ほんと。」
「何年零と付き合ってると思ってるの?」
そう言って運転席に乗り込む遥。
こんな時、遥がものすごく男前だな、なんて思ったりする。
「何年、か…」
助手席に乗り込んだ零は、瞼を閉じて、遥に会った日のことを思い返す。
遥はストレートで司法試験に受かって、零が遥と会ったのは遥が25歳の時のことだった。
零は当時、28歳。仕事帰りに寄ったバーで、隣に座ったのがきっかけだった。
「…よく考えたらまだ3年じゃないか。」
「3年も見てれば分かるよ。」
車を運転しながら、遥はクスクスと笑う。
出会って、零が遥に一目惚れした。
それから何度か会って、付き合うことになり、1年後にはプロポーズ。そこで婚約した。
男でも妊娠できるようになったと知って、投薬も始めたし、その甲斐あって子供も授かり、もういつでもいいとは思っていたが、結婚もした。
今、自分の隣に遥がいることは、零にとってはものすごく嬉しいことで、ありがたいことだった。
とはいえ、気恥ずかしくてそんなことを口にしたりはしない。
琉と恋を見ていると、たまには自分も愛を囁いたりするべきなのか、と思うが、セックスでもしていなければ、甘い言葉を囁くなど、恥ずかしすぎる。
そんなことをぐるぐると頭の中で考えているうちに、零は眠気に襲われて、いつの間にか眠りに落ちていった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
333 / 832