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〜琉side〜
「お待たせいたしました。ご注文お伺いいたします。」
やってきた店員は、他の店員とユニフォームが少し違って、店長らしかった。
恋と目があうとクスクスと笑う。
「このワインをボトルで。グラス2つください。」
「はい。」
「それから、これと、これと…あとこれ…」
注文を済ませ、恋の方を見れば、恋はなんだか恥ずかしそうにうつむいている。
「恥ずかしい?」
「そ、そりゃ…知ってる人ばかりですもん…」
「…まあそのうち結婚するんだしいいだろ?」
「ーーッ!もう…そういうこと言わないでください。」
耳を真っ赤にしてそう言う恋が可愛くて、琉は思わず笑う。
ワインが運ばれてきて、琉が恋に注いでやる。
「ありがとうございます…あ、俺が…注ぎます…」
琉のものは恋が注いでくれた。
「乾杯。」
「乾杯…」
チン、と小気味良い音がなる。
一口、口に運べばふわりといい香りが漂った。
「ん…渋い…」
「恋はあんまりワイン好きじゃない?」
「…かもしれないです。でもこれは、飲みやすいかな…」
琉がワインが好きだからか、恋はワインを飲めるようになろうとしている節がある。
自分に合わせてくれようとしているのだと思えば、いじらしい。
料理が徐々に運ばれてきて、それを口にしながらワインも進む。
だんだん酔ってきたのか、恋の頬が赤くなってきた。
「ん…琉さん、話があるんですけど…」
「ん?どうした?」
「あの、今度、明希と千秋と旅行に行きたくて…」
遠慮がちにそう言ってくるから、反対されるとでも思っているらしい。
「ダメ…ですかね?」
少し潤んだ瞳がこちらを向く。
つい下半身が反応しそうになるのを抑えて、柔らかく微笑む。
「いいよ。紘さんとか翔也がいいって言えば。たまには3人でも出かけたいんだろ?」
そういえば、パァッと顔が明るくなる。
機嫌が良くなったのか、ワインをくいっと飲んだ。
(…おい…そんなに飲んで大丈夫か…?)
「えへへ…ありがとうございます。」
へら、と笑った恋がなんだか色っぽくて、早いこと帰らないと、と思う。
「あ、あの…それで…」
「ん?まだ何かあるの?」
「す、傑も…一緒に…」
なるほど、本当に言いにくいのはこれか、と納得する。
明希のことがある以上、琉も翔也も反対すると思っているのだろう。
「恋は嫌じゃない?」
「え?」
「傑と一緒に行くの、恋は嫌じゃない?」
「嫌じゃ、ないです。」
「じゃあ俺はいいよ。」
「本当ですか…?」
「うん。まあ、翔也も、明希くんが頼めば許すんじゃないかなぁ?旅行の前に審査はあるかもだけどね。」
琉はそう言ってクスクス笑う。
恋は安心したのか、ホッと息をついて嬉しそうに笑う。
「たまには同年代のみんなで楽しんでおいで。」
恋は修学旅行などにも行っていない。
きっと、こうして同年代と出かけたり泊まったりすることは楽しみで仕方ないだろう。
「ありがとうございます。えへへ…琉さん大好きです。」
いつもなら絶対に、人前で言ってくれないことを言うあたり、恋はかなり酔っている。
「…ありがと。でもそろそろ帰るか。」
「ん…もういいんですか?」
「…うん。そろそろ俺も我慢できなさそう。」
「我慢?なんの…?」
「…とりあえず帰ろう。」
琉はそう言って伝票を持ち、恋の手を引いてさっさと会計に向かう。
「ありがとうございました。またおこしくださいませ。」
ニコニコと笑う店員に軽く頭を下げ、恋もニコニコとしながら店を後にする。
その後、家に帰った琉が、我慢できずに恋を抱いたのは言うまでもない。
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