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〜明希side〜
「おお、明希。来てたのか。」
「うん。」
「……なぜお前がここにいる?」
明利は傑を目にすると声色を変えた。
「あーっ!!ストーップ!!!」
今にも傑を追い出しそうな明利の前に、明希が立ちはだかる。
「父さん、そんな怖い目向けないで。傑とはもう仲直りしたの!」
「仲直りってお前…自分が何されたかわかってるのか?」
「わかってるよ。俺だって普通に謝られただけじゃ許せなかったかもしれないけど、傑は、恋を助けてくれたんだよ!」
「助けたって…?」
「俺が同窓会に行った時、レイプされかけたのを助けてくれたのが傑なんです。」
「もう昔の傑じゃないんだって。みんなして傑を敵対視するのはもうやめてよ。」
「あの…横から口挟んで申し訳ないんですけど…僕は昔の傑くんを知らなくて、でも、彼に会った時、僕は怖いと思いませんでした。僕も、いろいろあったから男の人はあまり得意じゃないけど…彼は平気でした。だから彼は、変わったんだと思います。」
千秋にもそう言われ、明利は傑の方を見る。
その目に敵視の色は伺えない。
「…何言っても、許してもらえない覚悟でここにいます。明希の旦那さんにも、許してもらえるとは思ってない。でも、もう明希を傷つけることはしません。」
傑の言葉に、その場に沈黙が訪れる。
「あら、みんなこんなところで何してるの?」
そこに菜々子と利希が帰って来た。
「おにーちゃんだ!!」
「うん、利希、久しぶりだね。」
ぎゅう、と抱きついて来た利希を受け止めて頭を撫でる。
「明利さん?なんでこんなところで彼らを立たせてるんですか?」
「少しな…」
「あら、あなた傑さんね?」
「え、あ、はい。初めまして。」
「初めまして。明希と仲直りしたのね?」
「え…あ…まぁ…」
「明希のことよろしくね。さ、4人ともいらっしゃい。紅茶でも出してあげるわ。」
菜々子にももっといろいろ言われるかと思っていたが、菜々子はにっこりと笑ってそう言う。
「…菜々子は、許すのか?」
「許すも何も、それを決めるのは明希ですよ。明希が決めたなら私はそれを応援します。私は明希の味方ですから。」
「母さん…ありがとう。」
「その代わり、明希を傷つけようものなら…」
その先は、菜々子は言わずに、それはそれは綺麗な笑顔で微笑む。
「…さて、お話はここまでにしましょう?明希、パソコン使いたいんだったわね?」
「あ、うん!」
「明希が前に使ってたお部屋に用意してあるから、そこに行ってていいわよ。紅茶とお菓子も持って行ってあげる。」
「あ、うん、ありがと。じゃ、みんなこっち。」
「おにいちゃん…ぼくも、いきたい…」
「利希、お兄ちゃんの邪魔したらダメよ?」
今にも泣きそうな目で明希を見上げる利希を見て、明希は3人を見る。
3人とも頷いたので、明希は利希を抱き上げた。
「いいよー。お兄ちゃんたちと一緒に遊ぼっか。」
「うん!」
「母さん、利希の分もお願い!」
「わかったわ。」
菜々子はニコリと微笑む。
「…菜々子には敵わん。」
「実は母さんが一番怖かったりしてね…」
明利と明希は、キッチンに向かった菜々子を見送りながら、そう呟く。
「私より明希の親らしいな。」
明利はそんなことを言って苦笑する。
「みんな、ゆっくりしていってくれ。傑くん、すまなかったな。」
「いえ…」
明利が書斎に戻り、明希たちも部屋に向かった。
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