アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
*154
-
〜恋side〜
12月28日 7時
「あ、そうだ。婚姻届は、年明けて俺の休みの日に出そう。正月も休みはあるけど、11日と12日が休みなんだ。恋その日はどう?」
一緒に朝食を食べていた時、琉がそんな話をしてきた。
「俺、今年は正月も出勤するので、11日から遅い正月休みなんです。三連休なので、大丈夫ですよ。」
「正月も出んの?」
「はい。琉さん撮影ですよね。」
「だな。正月生特番ってのがあるからな…」
「翔也さんもですか?」
「だな。揃って出演してくれってオファーだった。」
「なんか紘さんもお仕事らしいんですよね…」
「じゃあ明希くんも千秋くんも1人か。」
「はい。だからRに来るって言い出して。」
恋は昨晩のLINEの会話を思い出してクスッと笑う。
「あ、おせち、食べます?昨日、お義母さんから電話があって、食べるならあげるって言われたんですけど。」
「母さんが?まあくれるっていうならもらっとけば?恋だけでも食えばいいし。」
「じゃあお願いしておきます。」
「母さんたちと初詣にでも行ってくれば?」
「初詣ですか?」
「元旦もシフト入ってるの?」
「元旦は入ってませんでした。」
「じゃあ行ってきな。いや、多分一緒に行かされると思うぞ。おせち取りに行くの、元旦の日だろ?」
「多分…夜にでも食べられるようにって言ってましたから。」
「一緒に行こうって言われると思うぞ。」
「じゃあ…お言葉に甘えてきます。」
「おう。」
「あ、そういえば…」
恋はふと、あるものを思い出して一度席を立つ。
「これ、来てたんですけど。」
「ん?検査?」
「はい。」
それは妊娠適応検査というもので、妊娠のための投薬や、その後の体の適応について検査するものらしく、明希や千秋も郵便で受け取ったと言っていた。
「俺も受けるの?」
「一応…不妊検査も兼ねてるらしいです。」
「…ん、わかった。3月までには…いける、かな。」
「ふふ、遠いですね。」
「ごめん…」
「いえ!大丈夫です。検査の期限は5月までですし。」
「先に恋だけ行って来てもいいよ?」
「あー…じゃあそれは明希と千秋にも聞いてみます。」
「ん、そうしな。よし、俺行くな。」
琉が席を立ち、そう言う。
「はい。行ってらっしゃい。」
「行ってきます、マイハニー。」
どこの海外ドラマだ、と突っ込みたくなるようなセリフをかまし、額にチュ、とキスをしてくる琉。
「は…?!」
「じゃ、行ってくるな。」
可笑しそうに笑いながら、琉はリビングを出て行く。
恋は1人で、額を抑えて、固まることしかできなかった。
だが、こんな何気無い日常は、とても幸せに感じた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
357 / 832