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〜恋side〜
1月1日
「初詣なんていつぶりだったんだろ…」
「あら、去年は琉と行ったりしなかったの?」
「はい。去年も琉さんは仕事でしたし、俺入院してたので…」
恋は琉の家族と初詣にやってきた。
おせちをくれると言う眞弓に甘えて赤津家に足を運んだところ、琉の言っていた通り、初詣のお誘いを受けたのだった。
今は全員で帰り道を歩いていた。
「年末も年始も忙しいなんて…恋くん、ごめんなさいね。あまり体も休まらないでしょう。」
「いえ!俺も年末年始仕事してますし、大丈夫ですよ。」
「あ、そういえば兄さんプロポーズしたって?」
「えっ、奏くんなんで知ってるの?」
「うちに連絡来てるに決まってるでしょ。」
奏はクスクスと笑う。
「それもそうか…あ、あの、不束者ですけども…よろしくお願いします。」
道端ではあるが、改めてそう言うと、眞弓と隆文が顔を見合わせて微笑む。
「こちらこそ。うちの息子をよろしく。」
「困ったことがあったらいつでも頼りなさい。」
「ありがとうございます。」
「婚姻届はいつ出すのかしら?式はまだ挙げられそうもないって聞いてるんだけど。」
「婚姻届は、11日に出しに行こうって言われてます。」
「これで恋くんも、正式にうちの家族ね!」
眞弓に笑顔でそう言われて、恋は泣きそうになった。
「恋さんのこと、お兄さんって呼んでいいってこと?!」
「うん、いいよ。」
「やった!琉兄さんのお嫁さん、恋兄さんね!」
煌が楽しそうにそう言う。
「お嫁さんかぁ。俺も早く結婚したいな。」
「お前はまだ高校生だろう。」
「そうですよ。それにお相手もいないでしょ。」
「まあねー。」
この場にいる人で、奏に相手がいること、貴也と付き合っていることを知っているのは恋だけだ。
恋は1人で、奏は貴也と結婚したいんだろうか、と考えていた。
「恋さん?何考えてんの?」
「へっ?!」
奏に顔を覗き込まれ、恋はハッとした。
「ぼーっとしちゃって。なに?マリッジブルー?」
「違うよ!」
「ラブラブだから今更ブルーになんかならないかぁ。」
奏がニヤニヤとしながらそう言うと、煌もケラケラと笑う。
「こら、お嫁さんいびりするんじゃありません!」
これはいびりなのか?と思いつつ、庇ってくれるのは姑というおかしな状況に、恋もクスクス笑い出した。
「前にも言ったけど、私はいつでも恋くんの味方よ。」
「おや、それは私もだ。」
眞弓の言葉に、隆文も同調してくれる。
「うーわ、兄さん可哀想だな。」
「奏も結婚するなら、私はお嫁さんの味方しますからね。」
「えっ、そうなの?」
「煌も同じことよ。私はあなたたちの味方はしません。」
「「えぇー?!」」
揃って声をあげた奏と煌。
隆文と恋は顔を見合わせて笑った。
温かい日差しが降り注ぎ、笑って道を歩ける。
今年は良い一年になりそうな気がした。
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