アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
*161
-
〜恋side〜
1月12日
「はー!久しぶりの日本やっぱ楽しい!」
「よかったです。楽しんでくれたみたいで。」
「恋さんは楽しかった?」
「…はい。」
「あ、嘘ついたなぁ?」
小雪に付き合う形で出かけた恋は、まだ昨日の出来事を引きずったままだった。
自分から琉に連絡する気など起きるわけもなく、左手の指輪を眺めては、ため息をつくばかり。
帰りの電車でも、やはり同じことをしていた。
「その指輪さ、プロポーズでもらったの?」
「え?あ、はい…」
「ダイヤの指輪ねぇ。定番だね。」
「何度眺めても飽きません。毎日毎日、自分の左手を見るたびに嬉しくなるんです。」
「…あー、もう、妬けるな。」
「へっ?」
「僕が慰めようと思って1日連れ回しても、あんまり表情が変わらなかったのに、指輪を見たらその顔。ほんっとにお似合いの2人だねぇ。」
一体どんな顔をしていたのだろうか。
「まあさ、琉さんはヘタレでどうしようもないところもあるけど、恋さんへの愛は嘘じゃないと思う。昨日のことは、琉さんにも琉さんなりの思いがあってのことだと思う。決して恋さんを手放したいわけじゃないと思うよ。」
「…琉さんのこと、信じてないわけじゃないんです…でも、怖くて……もう、俺は、琉さんと離れられない。俺の相手は、琉さんしかいないんです。」
「それさ、本人に言ってあげな?あのヘタレ喜ぶよ。」
小雪がそう言って悪戯っぽく笑う。
小雪は琉をヘタレと呼ぶのにハマってしまったらしい。
「こんなにお似合いの人、見たことないから。絶対に幸せになってよ。昔の女なんか目じゃないよ!過去がどうあれ、今の琉さんが愛してるのは恋さんなんだから。」
他人にそう言われると、少しだけ安心した。
「よし!着いたよ、ホテル帰ろう。」
「今日も、いいんですか?」
「いいよー!心配しなくても、お金は全部琉さんに請求するから。」
小雪はそう言ってニヤリと笑う。
「今日の夜はホテルから出ちゃダメだよ?」
「え?なんでですか?」
「ちょっとね、僕からのお願い。」
「わかりました。」
小雪の言葉に不思議に思いながらも、恋は了承した。
2人で他愛もない話をしながら、ホテルまで歩く。
ホテルについて、部屋の中に入ってすぐのことだった。
癖で見やった左手に、はまっているはずの指輪がない。
「ない…!」
「え?」
「ゆ、指輪が…ないっ、ないんです!」
「えっ?!バックとかに入ってるんじゃ…」
慌ててバックの中をひっくり返して見てみるが、指輪は見当たらない。
部屋の床や廊下を見てきてくれた小雪も、それらしきものは見つけられなかったようだ。
「ど、どうしよう…ない…ないっ…」
恋はボロボロと泣きながら左手を右手で覆う。
「お、落ち着いて、恋さん!どこまではあった?」
「でん、しゃ、おりたときは…」
改札を出たときは、確かに左手に指輪があった。
「人混み歩いてきたから…どこかで引っかかって落ちたのかも…」
「さ、さがさなきゃ…俺、探してきます!」
「えっ、待って待って!!今日の夜は、外に出さないように言われてるの!!」
「え?」
言われてる、とはどういうことだろうか。
「……今日、琉さんが迎えに来るんだ。」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
364 / 832