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〜紘side〜
2月6日
「…はぁ…」
いつしかのようにため息をつく紘。
千秋は2校受験をして、今日が両方の発表日。
紘はスマホを見てはため息をつき、パソコンと向き合ってはため息をついていた。
「社長、またため息ですか?」
「本館か…今日は千秋の合格発表の日なんだよ…」
「そうでしたか。千秋様なら大丈夫ですよ。」
確かに、自己採点では悪くない点数だったようで、失敗はしていないとは千秋から聞いている。
それでも心配なものは心配だ。
「発表を見たら連絡をするように言ってあるんだが…」
「まだ12時じゃないですか。」
「10時に1校、12時に1校発表で、もう結果は全部出てるんだよ…」
「もう少しお待ちになっては?」
「はぁ…心配だ。」
受験生の親はこんな気分なのだろうかと思いながら、千秋からの連絡を待つ。
数分が何時間にも思えるのだから困ったものだ。
本館が社長室を出て行き、紘が伸びをしたその時だ。
電話がかかってきて、紘はそれに飛びつくように出た。
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〜千秋side〜
12時
「ちょっと緊張する…」
「まだ両方見てないの?」
「うん。」
千秋の家に、恋と明希がやってきていて、3人で合格発表を確認しようとしていた。
「とりあえず第二志望の方から見よう。」
恋の言葉に頷き、学校のホームページを開く。
合格発表、というページを開いて、自分の受験票と照らし合わせる。
「あった?あった?!」
「明希、落ち着けよ。」
「えっと……あった!」
「おぉぉぉ!!おめでとぉぉぉぉ!!」
「よかったじゃん!!」
「うん。」
明希と恋が自分のことのように喜んでくれて、千秋も嬉しそうに微笑む。
「じゃあ、本命だな。」
「やばい、なんか俺が緊張してきた!自分の受験より緊張してるんだけど!!」
「明希、落ち着いて。」
3人でドキドキしながらスマホを覗き込む。
ホームページを開き、合格発表のページを開く。
画面をスライドさせていき、番号を探す。
「…どうだ?」
「あった…?」
千秋はスマホから顔を上げて、恋と明希を見る。
「どう、だった?」
「千秋…」
心配そうな2人に向かって、千秋はにっこりと笑う。
「ありました!」
「わーーっ!!おめでとう!」
明希がそう言ってぎゅっと抱きついてくる。
「おわっ、危ないよ明希!」
「千秋おめでとう!」
「えへへ…よかった。」
「紘さんに電話してあげなよ!!」
「う、うん…」
明希に抱きつかれ、恋ともくっついたまま、千秋は紘に電話をかける。
『もしもし!』
すぐに通話になり、食い気味で話してきた紘に、思わず千秋は笑う。
『ど、どうだった?』
「紘さん…僕…」
『う、うん…』
「合格しました!」
『はぁぁぁ…よかったぁ…』
「えへへ…心配おかけしました。」
『本当におめでとう。今週末は休み取ってあるから、食事にでも行こう。』
お祝いだ、と言われて、千秋の頬が緩む。
「ありがとうございます…あ、お仕事ちゃんとしてくださいね!」
『あぁ、わかってるよ。ケーキでも買って帰ろうか。』
「本当ですか?」
『あぁ。今日は早く帰るな。千秋本当におめでとう。』
「ありがとうございます。帰り待ってますね。」
電話を切ると、恋と明希がニヤニヤとしている。
「もー、待ってますね、とか。千秋かわいいな。」
「ほんとね!!翔也さんたちにも教えてあげようよ!」
「そうだな。」
そうして、千秋の合格は瞬く間に広まり、合格祝いのために、久しぶりに6人で集まろうという話になった。
その日程に、明日の夜が選ばれたのは、今日は千秋と紘の2人きりにしようという琉と翔也の画策があったことを、千秋は知らないのだった。
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