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〜傑side〜
2月10日
「わぁ…すごい人だね…」
「…本当に知らなかったのか。」
「うん。僕、こういうところは全く。」
「…こんなに人多いんだ…酔いそう…」
「恋吐くなよ。」
「とりあえずお化け屋敷はやだよ!!」
「…明希…ここにお化け屋敷はないだろ…」
恋たちそれぞれの反応に、一言ずつ返す傑。
今日は4人で千葉にあるテーマパークにやってきたのだ。
今日1日の様子を見て、今度の旅行に行けるかどうかが決まる。
傑としては、旅行に行きたがっている3人を行かせてやりたいので、なんとか翔也の評価を獲得したいところだ。
今日の傑は、琉、翔也、紘に、定期的に状況をLINEで報告することになっている。
3人のLINEグループに突然招待され、そう言われたのだ。
緊張して仕方がないが、とにかく今は恋たちに楽しんでもらおうと、傑はそう思った。
「で、どこ行きたいの?」
「とりあえずポップコーン食べよ!」
明希がキラキラとした顔でそう言う。
(…まずポップコーンかよ。)
心の中で突っ込む。
「キャラメルポップコーン!マジでうまいから!!」
「キャラメル?」
「甘いの?」
恋と千秋がキャラメルという言葉に反応して、期待に満ちた目をしているので、要望は受け入れることにする。
ポップコーン売り場に並ぶと、周りからの視線をものすごく感じる。
前々からわかっていたことではあるが、この3人は男の視線を引き付けやすい。
明希に至っては中学時代からよく男に襲われかけていた。
恋は大人になって再会してみれば色気が出ているし、千秋の純粋そうな感じもいい。
3人だけで出かけることを不安がる琉たちの気持ちが、今よくわかった。
「キャラメルポップコーンってマジ神だよね。」
「ポップコーン食べるならキャラメルだな。」
「キャラメル自体美味しいもんね。」
3人で楽しそうに話しているその姿は無防備すぎる。
これでは絡まれたりナンパされたりするのも無理ない。
「傑はポップコーン食べる?」
「お前ら食い切れんの?」
「「あ…」」
3人声を揃えて顔を見合わせる。
周りからの視線をさらに感じる。
「…2つ買えよ。俺余ったの食う。」
「だねー!」
「あ、あれ乗りたい。」
「えっ、どれ?」
「あれ。」
アトラクションを指差す恋と、その方を見る明希。
千秋がポップコーンを注文している。
ポップコーンを購入し終え、アトラクションに向かう。
明希と千秋が並んで歩いているのだが、ルンルンとしているのが後ろから見てもわかる。
「…はしゃいでんな。」
隣の恋が、クスリと笑いながらそう言った。
そう言う恋の表情も楽しそうだ。
「…お前も楽しそうだけどな。」
「そう?」
「恋ー、傑ー!写真撮ろう写真!!」
大きな城の前で明希がそう言う。
「自撮り?」
「いや、誰かに頼めよ。」
「すいませーん!撮ってもらっていいですか?!」
「いいですよー。」
明希が通りすがりの女性組に声をかけ、4人で並んで写真を撮る。
相手の組も傑が撮影し、お互い礼を言って別れる。
撮れた4人の写真は、例の報告に使った。
それからはアトラクションを全力で楽しみ、はしゃぐ3人を見ながら、周りの男に睨みを利かせ、傑はかなり疲れた。
「…ちょっと休まね?」
「え、傑バテたの?」
「俺たちより体力あんのに?」
明希と恋がそう言いながら首をかしげる。傑は恋たちを守るために恋たちとは違う苦労をしていることを、彼らは知る由もない。
「大丈夫?少し座る?」
千秋の優しさにジーンとしてしまう。
「じゃーその辺のベンチに座って休も!」
「飲み物買ってくるわ。」
「俺も行く!」
「じゃあ千秋と傑は留守番な。」
恋と明希が何か買いに行くのは、心配ではあるが、千秋を1人にするわけにもいかないし、4人で行くほどのことでもない。
傑は迷ったが、恋はしっかりしているし、と思い、2人を送り出した。
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