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〜傑side〜
「とりゃぁぁぁっ!!」
「は?!」
傑を抑えていた男の1人が吹っ飛ぶ。
「明希…おま、何してんだよバカ!」
「バカってなんだバカ!!」
ハァハァと肩で息をしながら、明希が傑に言い返す。
「いってぇ…」
「獲物が自ら飛び込んできてくれたわけ?」
「それなら痛みもなんのそのってね。」
男たちがニタニタと笑う。
「なんで逃げないんだよアホ!」
「傑置いて逃げるわけないだろ!」
珍しく強気の明希だが、その手は震えていて、無理しているのがわかる。
なにより、なぜ明希1人なのかが気になる。
傑が混乱しているその時だった。
「お巡りさん、こっちです!」
「君たち!そこで何してる!」
「うわ、やべ、警察だ!」
「逃げろ!!」
男たちがバタバタと逃げていく。
「こら待て!!」
警察官が、男たちを追っていき、そこに残っていたのは、恋と千秋。
「お前ら…バカか!無茶しやがって!!」
「無茶してんのはお前だろ傑!」
恋にパチンッ、と頬を叩かれる。
「1人でなんとかしようとすんなよバカ。」
「怪我してない?」
怒っているらしい恋と、心配そうに聞いてくる千秋。
傑を助けようと、彼らなりに考えてくれたらしい。
「き、緊張したぁぁ…恋たち来なかったらどうしようかと…」
明希はそう言ってヘナヘナとしゃがみこんだ。
「時間稼いどけとは言ったけど…何したんだよ。」
「蹴った。」
「「え?」」
千秋と恋の声が重なる。
時間稼ぎにしては無謀すぎると、話を聞いた傑も思った。
「だって、俺が普通に話したりしたって時間稼ぎになんないし…なにより怖いし…それに、傑が、もしかしたらって、思ってぇぇぇ…」
明希は話しながら目を潤ませ、ついには泣き出してしまった。
「なんでお前が泣くんだよ…」
「だってえぇぇぇ…俺たち、たすけて、くれてっ…すぐるが、れいぷ、されたら、いみない、だろぉぉ…」
ぐすぐす泣きながら明希はそう言う。
「とにかく、2人とも無事でよかった…2人が囲まれてるの見て心臓止まるかと思った…」
恋も泣きそうになっているし、千秋は終始心配そうな顔をしている。
このまま電車に乗るのは得策ではない気がした。
「…はぁ。翔也さんたちにここまで迎えに来てもらおう。明希、電話できる?」
「うっ、ん…」
「琉さんと紘さんにも迎えにきてもらう?」
「琉さん今日仕事だし…」
「紘さんも仕事だよ。」
「頼めば来てくれんだろ。つかもう終わってんじゃねえの?」
「…じゃあ…」
なんだかんだ不安なのだろう、恋も千秋も頷いた。
「とりあえず近くのファミレス入ろう。ここで待つのはなんだし。」
「でんわ、だけ…」
「おう。」
明希がスマホを取り出して、翔也に電話をかける。
ふと、今の明希にかけさせるのは間違った気もしたが、もう遅い。
「も、しもし…」
翔也が電話に出たのか、明希が泣きながら話す。
と、スマホを耳から遠ざけ、眉間にしわを寄せる。
かなりの大声を出されたらしい。
「あ、えっと、その、えっと、ちがくて、えっと、えっと…」
なかなか本題に入らない。
やはり明希にかけさせたのは間違いだ。
「えっと、もうー!聞いてくださいっ!!」
痺れを切らした明希が叫ぶ。
「俺じゃなくて、傑が!傑が襲われかけたんです!」
もはや涙は止まっていて、明希はプンプン怒りながら事情を説明している。
「だから、その…こっちまで、迎えに、きてほしくて…琉さんと、紘さんも…」
申し訳ないのか、だんだんと声が小さくなってしまう。
「はい…おねがいします…ごめんなさい……ありがとうございます……え?あ、一緒にいるんですか?!ちょっと待ってください。」
明希は一度スマホを耳から離す。
「琉さんと、紘さん、一緒にいるんだって。恋と千秋に電話変わる?って。」
「僕はいいや。」
「俺もいい。」
「もしもし?変わらなくていいって。え?変われって?はーい。恋、琉さん。」
明希がスマホを恋に渡す。
「え?あ、大丈夫ですけど……泣いてないですよ!大丈夫ですってば…はい…待ってます……明希。」
少しの会話で明希にスマホが戻り、次に傑に回ってきた。
「も、もしもし…」
怒られるだろうか、と緊張して、声が詰まった。
『傑くん?あんた、自分が何したかわかっとるん?』
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