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〜翔也side〜
「しょーやさん。」
家に帰りリビングに入ると、明希がぎゅうっと抱きついてきた。
「こらこら、危ないよ。」
「んふふ…」
頭をスリスリと擦りよせるたび、首元の鈴がチリン、と鳴る。
「明希ちゃん酔ってるでしょ?」
「酔ってないですよー。」
そう言って見上げてくる明希の頬はほんのり赤く、目もトロンとしている。
家が近いからとネコ耳もついたままで、可愛くて仕方がない。
「翔也さん、ぎゅー。」
わざわざ少し離れて、腕を伸ばしてくる明希。
それが可愛らしくて、翔也から明希を抱きしめる。
「えへへー…」
幸せそうに微笑む明希を見ると、心が満たされていく。
明希と付き合いたての頃に、抱かずに我慢できたのは、この心の満足感があったからだ。
体を繋げることは、翔也にとって特に意味もない、求められたからすることだった。
恋人という関係になったら、することが当たり前だった。
それが、明希の幸せそうな顔を見ていると、体の関係を持たなくても、十分愛を感じられるし、幸せだった。
「翔也さん…えっち、する?」
「明希ちゃんしたい?」
「んー…してもいいですよ…」
「…明希ちゃん、今日はあんまり乗り気じゃないね?」
酔った時の明希は、セックスしたくなるとすぐに口にする。ところが今日は、したい、ではなく、するか、と聞いてきた。
翔也は、明希の可愛らしい姿を見てきたし、したいのは山々だが、明希の様子が気になる。
「んー…」
甘えるように頭を擦り付けて、明希が抱きつく力を強くする。
何か不安があるのだろう。
「どうかしたの?」
「…赤ちゃん…」
ポツリと小さな声で明希が呟く。
「赤ちゃん、できなかったら、どうしよう、って…ずっと、思うんです…」
「…うん。」
「薫くん、可愛かった…」
「うん…」
「俺も、子供欲しいって、すごく、思って…でも、怖くて…不安で…」
まだ治療を始めていないせいもあるのか、不安ばかりが募ってしまっているようだった。
セックスをすれば、いやでも子供のことを考えてしまうし、明希の心には負担かもしれない。
「…今日はするのやめよっか。」
「…でも…」
「たまにはぎゅーってしながら寝てもいいでしょ?」
「…うん…」
「したくなったら、言ってくれれば俺はいつでもできるけどね!」
そう言って笑えば、明希も少し笑った。
「大丈夫。俺は明希ちゃんがいれば、すごーく幸せだよ。もしエッチができなくても、それでもいいし、子供ができなくても、俺はいいの。だってこんなに可愛い奥さんがそばにいるからね。」
明希の額に軽くキスをして、翔也は微笑んだ。
「…翔也さん…大好き…」
「うん。ありがとう。俺も大好きだよ。」
「…俺もう…翔也さんいないと、生きていけないかも…」
「俺も明希ちゃんいなくなったら荒れちゃうなー。」
そう言えば明希はクスクスと笑った。
これからも、明希の心の不安が消えることはきっとないのだと思う。
いくら大丈夫だと言っても、明希自身が子供を望んでいるから、辛い気持ちも不安な気持ちもずっとつきまとう。
だから、何度だって伝えたい。
明希がいてくれれば、翔也はそれで幸せだ。
明希が大好きで、大切で、何があったって手放さない。
言葉にすることで明希が少しでも安心するのなら、何度だって言うし、何度だって話を聞く。
自分にできることは、それくらいしかないのだと思う。
「よし!ベット行こうかー!早くぎゅーってしたいからね!」
「もうしてますよ?」
「寝てた方がもっとくっつけるでしょ?」
そう言って明希の手を引いて、寝室に向かう。
ネコ耳はとったが、服はそのままにした。
「服、そのままにするんですか?」
翔也が部屋着に着替えていると、明希がそう言う。
「うん。なんか脱がせるの勿体無いじゃん。せっかく可愛いしね。」
「俺、可愛い…?」
「そりゃもちろん。」
「うじうじ悩んでて、めんどくさくないですか…?」
「めんどくさいなんてとんでもない!悩んで当たり前でしょ。でも俺には明希ちゃんの不安はわかってあげられないから…だからいくらでも言って?不安だったら、怖かったら、そう言って欲しい。」
明希の頭をポンポン、と撫でると、明希はそっと目を閉じる。
「翔也さん…俺やっぱりえっちしたい…」
「…俺はいいけど、いいの?」
「えっちは、子供作るためだけじゃ、ないでしょ…?」
「うん。それはそうだね。」
「もし、俺に子供ができなくても…翔也さん、えっちしてくれる?」
こてん、と首を傾げた明希に、翔也の体が熱くなる。
「もう…そんなの当たり前じゃない。俺は毎日だって明希ちゃんを抱きたいもの。」
「ま、毎日はだめ…」
明希が耳を赤くしてそう言う。
(全く…俺の奥さんは可愛くて仕方ないなぁ。)
ベットにぺたん、と座っている明希に視線を合わせ、顎をくいっ、とあげる。
「…明希、愛してる。」
そう言うと、そっと唇を重ねた。
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