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〜琉side〜
3月4日
「うわ、すごい反応だよ。」
「何が?」
スマホを見ていた翔也がクスクス笑いだす。
その中身を覗き込んで、琉は驚いた。
翔也が見ていたのはいわゆるSNS。
恋についての反応が、昨日と今日で盛り上がっていた。
"赤津琉潔すぎ"
"赤津琉の株が上がった"
"婚約者がAV男優だからなんなんだって感じ。赤津琉には関係ないし、それを潔く認めたから、好印象"
"あのマスコミの対応がクズい。家にも押しかけたりとかありえない"
"記事見てほしいからってでっち上げはないわ"
"赤津琉かっけぇ"
"婚約者への愛が感じられてすごくいい。羨ましい"
といった内容で、琉の人気はますます上がった。
あの記者会見の印象が、相当良かったらしい。
「琉さん人気ですなぁ。」
「お前がいうか、お前が。」
翔也はすでに、明希への一途な愛をテレビで語りすぎて、ファンの反応がものすごく良かったことがある。
「何はともあれ、恋くんへの批判はなくて良かったよ。」
「そうだな。」
「事務所が、名誉毀損で週刊誌の出版社を訴えるって言ってたよ。」
「へぇ。」
「興味なさそうだな、おい。」
「恋が傷つかないならなんでもいい。」
「でた、婚約者…いや、奥様への愛がすごい赤津琉。」
「お前が言うなよ。」
琉からしてみれば、翔也の方がよっぽどすごいと思う。
明希への愛は、いつでもどこでも感じられると言っても過言ではない。
「まあ、今回は翔也にも迷惑かけた。ごめん。」
「いやいや!それは全然構わないんだけどさ…」
「なんかあったのか?」
「うーん…取材の過程でね。恋くんの話を取材に来た記者に、俺たちの関係についてまで聞かれてさ。子供はどうなんだって話になっちゃったんだよね。」
今の明希に、子供の話は厳禁だ。
「それでまた、少し落ち込んでるというか…まあもうすぐ恋くんたちと旅行だし、それで元気になってくれるといいんだけど。」
翔也はそう言って困ったように笑う。
「なんか、悪いな…俺がしっかりしてなかったせいで…」
「いや、今回のことは誰も悪くないから。琉のせいじゃない。もちろん恋くんのせいでもない。だからあんま気にしないで。」
翔也は琉の肩をぽん、と叩いた。
「それはそうとして、旅行の話聞いた?いや、琉はそれどころじゃなかったか。」
「なんかあったのか?」
「いやもうさ、るんるんしてる明希ちゃんが可愛すぎて。」
「はいはい…」
何かと思えば突然惚気られて、琉は苦笑いする。
「まあそれは置いといたとして。4人で旅行のための買い物に行くって言ってるけど、聞いた?」
「いや、聞いてない。」
「旅行が3月末だから、その前に行くって話は聞いたんだけど。それ以外にも4人で遊ぶ約束しようとしてるみたいだよ。」
「へぇ…」
「傑くんが大変だね。毎回気を使わなきゃいけないんだから。」
そう言って笑う翔也。
確かにその通りだとは思う。
「でもさ、俺の勘ではね、傑くんもネコだと思うんだよなぁ。」
「は?傑は明希くんのことレイプしたくらいだから、タチだろ?」
「そう思うじゃん?そういう子に限ってネコになるんだよ。だからさ、だんだん4人にするのも心配になってきたんだよね、俺。」
「傑はしっかりしてるし大丈夫だろ。」
「まあそれはそうなんだけどさ。」
翔也が一体何を心配しているのか、琉にはさっぱりわからない。
「傑くんは、明希ちゃんたちみたいな無防備さはないけど、どこかこう、ね。わかんない?儚げな色気が出てるの。」
「わかんねえよ…」
「うーん…俺無駄に経験豊富だから、こういうのは間違えないと思うけど。」
「恋たちだけで行くよりはいくらかマシだろ。」
「…まあ、ね。それはそうだね。」
翔也の心配は、しっかりと的中しているのだけれど、琉も翔也も、それ以上はそれについて話さなかった。
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