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〜恋side〜
3月9日
「明希…」
「そんなに泣かないで?」
「…うっ、ゔぅぅ…」
恋と千秋で、泣いている明希の背中をさする。
明希はまだ、ボロボロ泣いている。
「…あのさ。映画でそんなに泣くか?」
「だ、だっでぇぇ…」
傑が明希を見て呆れた顔をする。
今日は4人で映画館にやってきていた。
感動系の映画を選んだからか、明希はボロ泣き。恋と千秋も多少は泣いたが、明希はこういうのにめっぽう弱い。
「明希は感動系見てもホラー見ても泣いちゃうからね。」
千秋がそう言って苦笑いする。
「映画に不向きだな。」
「すぐるのいじわるぅぅ…」
「お前さ、ここで泣いてたら俺が泣かせたように見えんだよ。」
映画館のロビーで泣いていて、恋と千秋は明希の隣に座っていて、傑が明希の前に立っている。
周りから見れば、傑が泣かせたように見えてもおかしくはない。
「傑も座る?」
「…いや。俺は、いい。」
千秋の提案を、傑は少し間を開けて断る。
今日の傑は、少しおかしかった。
「お前さ、今日なんか変。」
「俺のどこが変なんだよ。」
「できるだけ座るの避けてるし、傑がタートルネックなんか着てるの俺初めて見たぞ。」
「…気分だよ、気分。」
「座るの避ける気分ってどんな気分だよ。」
恋はそう言って笑ったが、傑は何やら気まずそうに目を逸らす。
恋は少し考えて、1つ思い当たった。
「…傑さ、恋人できた?」
「ゲホッ、ゴホ、ゲホッ!」
「え、図星?」
「えっ、傑に恋人?!どんな人?!」
ついさっきまで泣いていた明希は、もうすっかり元気で、キラキラとした瞳で傑に尋ねる。
「いや、できてねえし。」
「いやでも……」
なんだか、事後のような気だるげな雰囲気が、傑にある気がするのだ。
「恋、それ以上言うなよ。」
恋の考えていることを悟ったのか、傑はそう言った。
AV男優をしていた頃は、腰やお尻が痛くて、できるだけ座るのを避けていた記憶がある。
だから、傑もそうなのかもしれない、と思ったのだが、結局その真偽はわからない。
「えっ、なになに!気になる!俺たちにも教えてよ!ね、千秋!!」
「そうだね。僕も気になる。」
「…まあ、いつかな。」
「えっ、傑、ちょっとー!」
傑は出口に向かって歩き始め、恋たちもそれを追う。
(タートルネックは、キスマークを隠すためだったりして…)
恋はふと、そんなことを思った。
(…いや。傑に限ってそんなことないか。そもそもあいつタチだよな。)
先ほど自分が考えた、座るのを避けている理由も、外れている可能性が高いな、と恋は思った。
「いだっ…」
「えっ?!」
「どうしたの?腰痛めてるの?」
映画館を出てすぐ、傑が腰を抑えたので、明希と千秋が驚いていた。
「いや…ちょっと…寝違えたっていうか、そんな感じで…」
「寝違えて腰痛めんの?!やば。」
「明希も腰くらい痛めるだろ。珍しい話じゃない。あ、お前の場合は寝違えたじゃなくて抱き潰された、だな。」
「ちょっ、傑!!」
ニヤニヤと笑う傑にそう言われ、明希が顔を真っ赤にして怒る。
「あはは…あの2人って、本当に仲良いよね。」
「だな。もともと気が合うんだろうな。」
後ろから2人についていきながら、千秋と恋は話す。
「そうみたいだね。それにしても、寝違えて腰って痛めるの?」
「さぁ…俺はそんなことにはなったことないけど…」
「ひねったりしちゃったのかな?」
「…俺はさ、傑が抱かれたのかと思ったんだけどさ。」
「えっ?!傑ってタチじゃないの?」
「そう、そのはずなんだよね。だからまあ、俺の考え過ぎかなぁって…ただ腰ひねっただけかもな。」
「そうだね。」
2人はこれ以上、傑の腰については話さなかった。
傑の腰が痛い理由については番外編にて明らかにする予定ですm(._.)m
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