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#*218
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〜恋side〜
「はー…温泉最高。」
「だな。」
旅館に帰ってきて、4人で温泉に入る…はずだったのだが、なぜか傑に全力で拒否され、今は、恋と明希と千秋の3人で温泉に入っていた。
「明日はどうするかねー。」
「やっぱ平和記念公園行きたくない?」
「行きたい。せっかく広島来たなら見ておきたい。」
「じゃあ明日はその辺回ろう。」
「空港の近くにもいい場所いっぱいあるらしいから、最終日チラ見して帰ろうよ!」
「それいいな。」
のんびりと話をしながら、温泉でゆっくり温まる。
こうして同年代と旅行に来るのはものすごく楽しい。
でも、なんとなく、琉にもこの景色や、この楽しさを知ってほしい気がした。
(今度は2人で…とか…誘ってみようかなぁ……新婚旅行…とか…)
そんなことを1人で考えて、恥ずかしくなってしまった。
「恋顔赤いよ?のぼせた?」
千秋に心配そうにそう言われ、首を振る。
「大丈夫。」
「でもそろそろ上がんない?傑は内湯入ったかもしれないけど、待ってるかもだし。」
「だな。」
温泉を出て、浴衣に袖を通す。
チラッと隣の明希に目をやると、首筋にキスマークが見えて、思わず吹き出す。
「な、なに?!」
「いや…その着方だとキスマーク見えると思って。」
「えっ、うそ、どこ?!俺、キスマーク隠して着たつもりなんだけど。」
「ここ。」
少し後ろの方をトントン、と叩くと、明希はカァ、と顔を赤く染める。
「こ、こんなとこまで…それなら昨日も隠せてなかったかもしれないってこと…?!」
「かもな。」
「そう言う恋も、後ろ、キスマークすごいけど…」
千秋に苦笑され、恋は頷く。
「もう俺は諦めた。」
「諦めちゃったんだ。」
「無理だろこんなん。隠せるわけない。」
「まあ確かにね…」
「琉さんのキスマークは本当すごい。」
3人でそんな話をしながら部屋に戻る。
「あれ?傑いないね?」
「散歩にでも行ったんじゃん?」
「失礼します。」
「あ、はい!」
旅館の従業員の声が聞こえて、振り返る。
「冷酒をご用意しておりますが、今晩はお酒は飲まれますか?」
「あ、はい。いただきます。」
「それではこちら、どうぞ。」
昨晩も湯上りにと勧められたが、昨晩は傑が断った。
今日は少しくらい飲もうと思い、恋がお盆を受け取る。
「失礼いたしました。」
従業員がいなくなり、冷酒に口をつける。
「んー、んま!」
「美味しいね。」
「酔いそうだけど。」
あまり飲み過ぎないようにしよう、ということで、2杯ほど飲んでやめた。
それでも程よく時間はたち、もうすぐ0時になろうかというもころだった。
「なんか、いい感じに酔った。眠い。」
「僕も眠い…」
「2人とも寝れば?」
「恋は?」
なんとなくいい気分で、まだ眠たくない恋は、少し歩こうと思った。
「俺はちょっと散歩してくる。」
「そっか。じゃあお先に。」
「おやすみ。」
「おやすみ。」
2人を残して、スマホだけ持って部屋を出る。
(そういえば、傑はどこ行ったんだろ?)
未だ戻ってこない傑が、少し気になる。
なんとなく、人気の少ない奥のスペースに歩いていくと、声が聞こえて来た。
(あれ?誰かいる?)
「はぁ?ここでそんなことできるわけないだろ。」
よく耳をすませてみれば、それは傑の声だった。
(何か揉めてるのかな…?)
そう思い、チラッと声のする方を覗く。
こんなスペースがあったのか、と思うような場所で、公衆電話と、椅子が何脚か置いてある。
今時公衆電話を使う宿泊客はいないだろうな、と思った。
傑はスマホで電話をしているようで、誰かと揉めているというわけではないようだった。
「成宮、お前調子乗んなよ。」
成宮(なりみや)というのが、電話の相手らしい。
「なっ…本当ふざけんなお前。」
傑が、珍しく顔を真っ赤にしていて、一体何を話しているのか気になった。
「っ…わかった!やればいいんだろ、やれば!」
(何をやるんだ?)
いけない、と思いつつも、ついつい覗いてしまう。
傑は椅子に腰掛けると、来ていた浴衣の中に手を突っ込んだ。
(えっ…?)
「っ…うるさっ、い…黙れ。」
(えっ、え?ちょっと待って、え、これって、え?!)
恋の頭の中は大混乱だ。
今、傑がしているのは、テレフォンセックスというやつではないだろうか。
「んっ、ふ…ぅ…だから、うるさいっ…!」
(えっ、やばい、まじで?俺見ちゃいけないもん見た?)
動揺してしまい、そこから離れる、ということすら思いつかなくなる。
「や、っ…あ…」
(…傑が色っぽい声出してる…)
AV男優だったせいか、ついつい声には反応してしまう。
いい声してるな、とか、色っぽいな、とか、そんなことを冷静に考えてしまう自分に、ため息が出そうになる。
「あっ、ぁ、や…ぁ…」
完全に盛り上がり始めてしまったらしい。
恋は傑の姿こそ見ていないが、声がダダ漏れで心配になってしまった。
こんな時間に部屋の外に出る人は少ないとは思うが、バレないともいえない。
(あぁもう…どうしよう…)
恋がそう思った時だった。
ヴーッ、ヴーッと、着信を知らせるバイブ音が鳴る。
(今っ?!)
恋は慌ててその場を離れて、廊下を曲がった。
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