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〜恋side〜
「は、はい、もしもし。」
『もしもし?あれ?なんでそんな小声?』
電話の相手は琉だった。
「えっ、いや、ちょっと…」
『なんかあった?』
「な、なんにも!」
『…ふーん…?あ、昼間の写真見たよ。綺麗なとこだな。』
「あ、はい。すごく綺麗でした。本当はもっといろんなとこで写真撮ったんですけど…」
話しながら場所を移動して、旅館の裏手の庭のようなところに出た。
『ああ、傑から送られて来たから見たよ。みんなで写真撮ってたろ。』
「えっ、あいつそんなことまで報告してるんですか?」
『翔也が写真見たいって言い出したからな。』
「そうなんですか…」
『楽しんでそうでよかった。変わったことはなんもない?』
「変わったこと…」
今日は2つもあった。
絡まれたのを助けたし、傑のテレフォンセックスを聞いてしまった。
果たしてこれは、報告するべきなのだろうか。
『なんかあったの?』
「えっ、と…今日、ナンパされてた子がいて、それを助けたんですけど…」
『…何その話。傑から聞いてないけど。』
「傑が、真っ先に助けに行って殴られちゃって…」
『あー……翔也に怒られると思って黙ってたなあいつ。恋たちはなんもされてない?』
「はい。大丈夫です。」
『じゃあ黙っててやるかな。あれ、今恋1人?」
「え?あ、はい…」
『どっか移動した?声普通に戻ってるし。』
「あ、まぁ…」
『さっきは部屋にいたの?』
「…いや。」
『え?じゃあなんで小声?』
不思議そうな琉に、どう説明すればいいのかわからない。
『恋?』
「え、えっと…」
何かあったことはもうわかってしまっただろう。
「あの、誰にも、言わないでくださいね?」
『ん?おう。』
「そ、その…傑が…」
『傑が?』
「て、て…テレフォンセックス…してたっぽくて…」
琉が無言になってしまい、恋も黙る。
自分のことではないのに、なぜかものすごく恥ずかしい。
『…その場に居合わせちゃったってこと?』
「は、はい…たまたま…聞こえちゃって…それで、その時に電話がかかって来たんで、ちょっと慌てて…」
『へぇ…傑にそんな相手がねぇ…翔也の考えは間違えじゃなかったわけか。』
「翔也さんの考え?」
『あぁ、まあ、これはこっちの話。それで?』
「へ?」
『恋はどうなの?』
「ど、どうって?」
なんだか嫌な予感がする。
『テレフォンセックス。興味ある?』
琉の声が、やたら色っぽくて困る。
「べ、別に…そんなのないです!」
『本当に?』
「当たり前でしょ!」
『ふぅん…まあでも、俺は興味あるんだよね。』
「だ、だからなんですか…」
『せっかくの機会だし、しない?テレフォンセックス。』
どんな機会だ、と突っ込んでやりたい。
だが、琉の声を聞けて、嬉しくなっている自分もいて、琉の興味に付き合ってもいいかな、などとも思ってしまう。
「でも…する場所、無いです。」
『傑はどこでしてたの?』
「なんか、旅館の、公衆電話があるところで…人気がない奥のところです。」
『じゃあ、恋は部屋に行けばいいんじゃない?』
「何言ってるんですか?!明希と千秋が寝てるんですよ?」
『内湯とか、物置とか?まあいろいろあんだろ。』
「そんな無茶な…」
『恋が声抑えればバレねえよ。』
声を抑えてしまったら、テレフォンセックスの意味など全くないように思う。
そもそも声が聞こえるから興奮するものではないのだろうか。
『吐息が聞こえれば俺は十分。』
「そ、そうですか…」
もはやここまで言われて断れない。
『じゃ、部屋ついたら教えて。繋いだまま待ってるから。』
やる気満々の琉に、ため息をつきたくなる。
でも、少しだけ、してみたいと恋も思ってしまったのだ。
「わかりました。」
恋は静かに部屋に戻る。
傑はまだ戻ってきていない。
「…つきました。」
『どこにしたの?』
「明希たちが寝てる、隣の部屋です…布団持ってきて…縁側みたいなところが、あるので…」
『へぇ…ちょっと野外みたいで興奮すんな。』
「変態ですか…」
『恋だけだよ。』
こうして甘い言葉を囁かれれば、恋もその気になってしまった。
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