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〜恋side〜
3月25日
「なんかあっという間だったな。」
「だね。また旅行したいね。」
「したい!」
すっかり広島を満喫して、帰路についた恋たち。
2日目以来、大きな問題もなく、4人での旅行はものすごく楽しかった。
「でも4月からはお前ら忙しくなるんじゃん?」
「あー…うん、確かに。俺は大学3年になるし、千秋も専門学校始まるもんね。」
「うん。」
「あれ、傑って何してんの?」
「は?今更?俺は笹倉グループの副社長だっつの。」
「「えっ。」」
見事に3人の声がハモった。
「初耳!!全然知らなかった!!」
「副社長とか、忙しくないわけ?」
恋がそう尋ねると、傑はため息をついた。
「忙しいに決まってんだろ。」
「よく旅行とか来れたな?」
「調整したんだよ。」
「なるほど。」
「傑が副社長かぁ…てことは秘書さんとかいるの?!」
明希がそう聞くと、傑の眉間にシワがよる。
「…まぁ。秘書みたいなのは、いる。」
「ほぇぇ!かっこいいな。」
「明希は実家継がないの?」
千秋がそう聞く。
「継がない、と思う。父さんに、自由にしていいって言われてるし。」
「傑は会社継ぐの?」
「まあな。一応一人息子だし。姉さんはいるけど。」
「傑のお姉さん、美人なんだよなぁ。」
「明希会ったことあるの?」
「うん。中学の時にね。」
「姉さんの話はすんなよ…」
「あ、そうそう、傑はね、お姉さんに弱いんだよ。」
「明希、やめろって。」
「僕、傑について全然知らないから聞きたいなぁ。」
千秋がそう言うと、傑は困ったような顔をする。
「…千秋に言われるとなんでも聞いてあげたくなるの俺だけ?」
「いや、それは俺たちでも思う。」
「だよな。」
「え、そうなの?」
千秋が不思議そうに首をかしげる。
「まあ、千秋がなんかしてるわけじゃないんだけどな。」
「千秋が可愛いのは俺たちの常識。」
「それね!」
「もう、恋も明希もまた言ってる。」
「ほんっとお前らって…」
「「なに?」」
「…こんなところも揃うのかよ。」
他愛もない話をしているうちに、東京に着く。
今日は、酔い止めが効いたのか、話していたからか、恋もそれほど酔わずに到着した。
そこから最寄り駅まで戻ってきて、また4人で歩く。
「うわ、まじかよ。」
すると突然、傑がそう呟いた。
「ん?どうした?」
隣を歩いていた恋がそう聞く。
「…いや、こっちの話。俺、こっから別の道行くわ。」
「え?」
「明希、千秋、またな。」
「え、傑どこ行くん?」
「ちょっと用事。」
「またね!」
「またなー。」
「バイバイ!」
傑を見送り、3人でまた先を歩く。
「なんか懐かしい!たった4日だったけど、見慣れた道に戻ってくるとなんか安心する。」
「確かに。」
「それは言えてるな。」
「こっちは桜はまだかな。」
千秋の言葉に、木を見上げる。
まだ花は咲いていない。
広島はもう八分咲きで、かなり綺麗な桜を見ることができた。
「だなぁ…もう春かぁ。」
「そうだね。あっという間に春だね。」
「翔也さんたちと出会って、今年でもうすぐ2年になるね!」
「だな。」
「僕はもっと長いや。」
「千秋っていつ烏沢に入ったの?」
「えーと、15歳になった頃かな。」
「てことは、もう紘さんとは5年も一緒?!」
「まあね。でも、18歳になるまではほとんど関わりなかったから。紘さんね、もっと怖い顔してたんだよ。」
千秋がそう言って笑う。
今からでは想像ができない。紘はすごく柔らかい顔をしていると思う。
「これからも、何回もこうやって春を迎えたいねぇ。」
明希がそう言って、3人で顔を見合わせる。
「だな。」
「そうだね。」
「ふふ、なんか幸せー。」
「春ってポカポカするから、心もふわふわするよね。」
「…千秋の発言がふわふわしてるわ。」
「それな!!」
「えー?」
琉に出会ってから増えた、こうした小さな幸せ。
これからも、そんな幸せを感じられたらいいなと、恋は思った。
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