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〜恋side〜
4月12日
「あ、恋。」
夕食を済ませ、洗い物をしていると、琉に呼ばれた。
「はい?」
「6月に、まとまった休みが取れそうなんだ。」
「はい。」
それがどうしたのかな、と不思議に思う。
「それで、結婚式を、6月にしようかなと、思ってるんだけど。」
2月24日に入籍した琉と恋だが、琉の仕事が忙しく、式は後回しにしていた。
「それと新婚旅行も。」
思わず洗い物の手を止め、固まってしまう。
「どうした?固まって。」
近づいてきた琉に頭をぽん、と撫でられて、微笑まれる。
「なんか、嬉しくて…」
「…可愛いな。」
「へ?」
「今どんな顔してるかわかってる?」
全くわからず、首をかしげると、琉に抱きしめられる。
「泡、泡つきますよ!」
洗い物の途中だったせいで、手は泡だらけだ。
「いいの。もう、嬉しそうな顔しちゃってさ。可愛すぎだから。」
そう言われると恥ずかしくて、顔が熱くなる。
「それと、もし恋がいいなら、投薬も始めたい。」
「いい、ですよ。俺…琉さんとの子供欲しいし…」
「…ありがとう。俺もできることはなんでも手伝うから。2人で頑張ろう?」
「はい…」
「よし。洗い物終わるの待ってるわ。」
そう言うと、琉はソファに座って、台本を読み始めた。
できるだけ早く残りを洗い終えて、ソファに向かう。
「ん、終わった?」
「はい。」
「さっきの、投薬の話は、翔也としてたんだ。明希くんが今月から投薬を始めるだろ?だから、恋も一緒にどうかと思って。」
「そうですね…明希も1人よりいいでしょうし、俺も1人より安心です。」
「だろうと思って。翔也に、明希くんにも話してもらうように言ってあるから。」
「ありがとうございます。」
「ん?なにが?」
「俺のこと…いっぱい考えてくれて…」
「当たり前だろ。俺の大事な奥さんなんだから。」
改めてそう言われると、なんだかむず痒いような、嬉しいような、恥ずかしいような、不思議な感覚になる。
玄関の表札が"赤津"になったり、自分が名乗る時に赤津です、と言うようになったりと、日常の小さな変化も、琉と結婚したことを実感させてくれていた。
「奥さん…うん、いい響きだな。」
琉がニヤついているのを見て、恋は思わず吹き出した。
「なんだよ、笑うなよ。」
「あはは!だって…ふふ…琉さん、ニヤニヤしすぎです。」
クスクスと笑いながらそう言う。
「仕方ないだろ。嬉しいんだから。やっと恋が俺の奥さんになったんだぞ?」
そんなに喜ばれると、照れてしまう。
「…で、奥さん。」
「な、なんですか?」
琉がぐっと距離を詰めてくる。
至近距離で目が合うと、やはりドキドキとする。
「…まだまだ反応が初々しいな。」
「いつだってドキドキしますよ…」
「目、閉じて…」
そう言われて、そっと目を閉じる。
唇を軽く舐められ、啄ばむようなキスをされる。
後頭部を軽く押さえられて、角度を変えて、何度も唇が重なる。
「ん…ふ…」
甘いキスに、頭の奥の方が痺れたような感覚になり、フワフワとしてきた。
「…恋って、キスするとトロン、ってなるよな。」
「そうですか…?」
唇が離れ、琉を見上げると、妖艶な微笑みを浮かべていた。
「その目。はちみつみたいにとろけそう。」
「なんですかそれ…」
また唇を重ねられる。
重ねては離れ、また重ねては離れを繰り返し、チュ、チュ、と唇を吸われる。
うっとりとした気分になり、琉を見つめながら、恋も琉の唇を啄ばむ。
「…恋、ベット行こうか。」
「ん…」
コク、と頷くと、軽く抱き上げられる。
(いつも思うけど…俺って軽いのかな…)
筋トレでもしようか、などと考える。
寝室に入り、ベットに横になれば、甘くとろけるような時間が始まる。
こうして今夜も、夜は更けていった。
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