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〜翔也side〜
「明希ちゃん、リビングまで頑張って。」
「は、い…っ…」
ひどく顔色が悪い明希を、なんとか家まで連れ帰り、フラフラとしているのを支えて、リビングのソファに座らせる。
「はい、お水飲んで。」
水を飲ませ、ネクタイを緩めたり、ベルトを緩めたりして、楽にしてやる。
「どうする?横になる?」
「横に、なりたい…」
「ベットにする?」
そう聞くと、首を横に振る。
「じゃあ、ここおいで。」
自分もソファに座り、ぽんぽん、と膝を叩く。
明希がそっと寝転がり、頭を乗せると、お腹の方にすり寄ってきた。
「大丈夫?薬の副作用かな?」
「かもしれない…です…」
「先週も少し具合悪そうだったけど…今週はひどいね。」
昨日、4回目の投薬をした明希。
副作用がだんだんと現れてきたようだ。
「気持ち悪い?」
「少し…」
「背中さすってたら楽?」
明希が頷いたので、優しく背中をさする。
すると、明希が翔也を見上げる。
「ん?どうしたの?どこか痛い?」
「違くて…その…ごめんなさい…」
「なんで謝るの?治療は一緒に頑張ろうって言ったでしょ?」
「そうじゃなくて…パーティー…の…」
明希は申し訳なさそうに俯いてしまった。
正直、あの場でブチ切れそうだった。
明希は不妊で悩んでいるというのに、その傷を抉るような発言を繰り返す山之内に腹が立った。
それをなんとかあれだけで留めたのは、明希の体調が心配だったからだ。
あの場で怒鳴れば、明希が精神的に不安定になってしまうことを懸念したのだ。
「明希ちゃんは何も悪くないよ。」
「でも…」
「俺は明希ちゃんと結婚してよかったし、明希ちゃんにそばにいてほしい。この前も言ったでしょ?」
「…翔也さん…」
明希がぎゅっと腰に腕を回す。
「ありがとうございます…」
「いいの。でも具合が悪くなったら、いつでもすぐに言って?今日だって、遠慮なく声かけてくれてよかったんだからね。」
「あの…それは…突然で…」
「そっか。びっくりしたでしょ?」
コクン、と頷いて、明希がスリスリとすり寄る。
その頭を優しく撫でると、嬉しそうにして、手に頬を寄せる。
「もっと…」
「うん。でもここだと辛いでしょ?一緒に行くから、ベット行こう?」
そう言うと、コク、と頷いたので、明希を優しく抱き上げる。
「自分で…」
「足フラフラしてた。危ないし心配だから、ね?」
微笑むと、体を預けてくれた。
「はい、到着ー。」
ベットにそっと寝かせて、椅子に腰掛ける。
「眠くなったらいつでも寝ていいよ。」
そう言って頭を撫でると、心地よさそうに目を閉じた。
「翔也さん…」
「ん?」
「俺…翔也さんが旦那さんでよかった…」
「それは俺のセリフだよ。明希ちゃんが奥さんでよかった。」
「…すき…」
ウトウトとしてきたのか、トロン、とした目を少しだけ開けて、明希はそう言った。
「俺も好きだよ。」
額に優しくキスをすると、明希はまた目を閉じる。
そのまましばらく撫でていると、スースーと寝息を立て始めた。
起こさないように、明希の服を着替えさせて、自分も部屋着に着替える。
隣に入って、そっと抱きしめると、明希が身を寄せてくる。
翔也は、明希が今日のように傷つくことがないように、守りたいと、そう思った。
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