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〜明希side〜
6月1日 12時
今日は、翔也の誕生日で、結婚式から1年の記念日。
明希の実家でお祝いをすることになっていた。
「もう1年も経ったのかぁ…」
「なんだか実感ないよね。」
「はい。」
実家に着き、チャイムを鳴らす。
『はい。』
「明希です。」
『お待ちしておりました。ただいま参ります。』
執事が出て、門を開けに来てくれる。
「明希様、翔也様。明利様と菜々子様がお待ちです。」
「おにいちゃん!」
家の中に入ると、すぐに利希が駆けてきた。
「利希ー!元気だった?」
「うんっ!」
利希を抱き上げて、ぎゅっと抱きしめる。
「おお、来たのか。」
「はい。お義父さん、お邪魔します。」
「あらあら、そんなとこに立ってないで、こっちにいらっしゃい。」
明利と菜々子もやってきて、リビングに向かう。
明利は、この日のために、昨日までに仕事を全力で片付けたとは聞いていたが、少し疲れているように見えた。
「父さん疲れてる?大丈夫?」
「大丈夫だ。明日の休みまでもぎ取ったから、心配するな。」
「そっか。なら良かった。」
「すみません、無理を言ってしまって。」
「いいんだよ!婿の誕生日と、息子の結婚記念日だからな。祝わないと。」
最近わかったことだが、明利はパーティーが好きらしい。
今回、この日を祝おうと言い出したのも明利だった。
「さ、みんなで食べましょう。」
テーブルの上には、明希や翔也が好きなおかずがたくさん並んでいて、それは全て、菜々子が作ったものだった。
「うわぁ、すごい、美味しそう!」
「張り切っちゃったわよー。」
「ぼくもてつだったの!」
「利希も手伝ったの?偉いなぁ!」
明希は利希の頭を撫でる。
「えへへー。」
利希は嬉しそうに微笑んだ。
それから、5人でテーブルにつき、談笑しながら食事を進める。
今日は夕飯も食べていくことになっていた。
食後に、翔也と明利はコーヒー、明希と菜々子は紅茶を飲みながら、また話をする。
利希はメイドと部屋で遊んでいることになった。
「ところで、ここ最近、翔也くんのテレビの露出が減ってないかい?毎日でも見てた気がするんだが、この1週間は一度も見てないんだが…」
明利がふと、そう言った。
「今は映画などに専念しているのか?」
「あー…いえ、違うんですよ…」
翔也は苦笑いしながらそう言う。
「どうかしたのか?」
「えーと…ちょっと、お偉いさんに喧嘩売っちゃいまして…」
「喧嘩を?翔也くんが、かい?」
「珍しいのね。翔也くんが怒るなんて。」
明利も菜々子も、驚いた顔をする。
「あはは…明希ちゃんのことについて言われて、つい、我慢できなくなってしまって…」
「…明希について?」
明利の顔色が変わる。
(な、なんかやばい気がする…!!)
「はい。俺も詳しくは聞いてないのでわからないですけど…そのお偉いさんが、明希ちゃんに暴言を吐いてたので。」
翔也がにっこりと微笑むが、その笑顔は怒りを含んでいる。
「ほう、暴言…明希、何を言われたんだ?」
「えっ?」
「そうだ、俺も聞いてないから聞きたいな。」
「いや、その、大したことは…」
(…あんなこと言われたなんて言ったら、絶対に父さん怒るよなぁ…っていうか翔也さんも絶対怒るし…)
明希はそう思い、なんとかごまかそうとする。
「具合悪くなってたし、酷いこと言われたんだよね?」
「体調を崩すほどか。明希、言いなさい。」
「ね、明希ちゃん、教えて?」
2人に迫られ、明希はワタワタとしながら、菜々子に視線をやる。
明希の視線に気づいた菜々子は、にっこりと微笑んだので、明希はホッとした。
…のだが。
「明利さん、翔也くん。そんなに迫ったら聞きだせるものも聞き出せませんよ。」
(ん…?)
「明希。言ってごらんなさい?」
ふわりと微笑んだ菜々子だが、有無を言わさぬ力があった。
「…はい…」
明希は観念して、返事をしてしまった。
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