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〜恋side〜
6月11日
「っくくく…恋、聞いてくれよ。」
仕事から帰って来た琉が、ものすごく楽しそうに笑っている。
「どうしたんですか?」
「いや、翔也がさ…くくくっ…っふふ…」
琉は笑いを堪え切れないのか、ずっと笑っている。
「この前のパーティー以降、山之内さんの根回しで仕事が減ってたんだけどさ。」
その話については、琉からも明希からも聞いていたから、恋も知っている。
「明利さんに、パーティーでの出来事がバレたらしくてさ。」
そういえば先日、明希がそんなことを言っていた。
「そしたら、明利さんと菜々子さんが、山之内さんに圧力かけに行ったみたいでさ。」
「えっ?!」
「山之内さん、すごいびびったみたいだよ。」
「そりゃそうでしょう…」
琉にご飯を出しながら、恋はその圧力を想像して、それだけで怖いと思った。
「それで、翔也が、山之内さんのこと共演NGにしたんだよ。」
「えぇ?!」
「もう、業界中びっくり。でもさらに驚かせたのは、山之内さんが、翔也は悪くないっていう話をしてたらしくて。もうテレビスタッフが相当驚いてたよ。」
琉はそこまで話して、クスクスと笑う。
そして、いただきます、と言ってご飯を食べ始めた。
食事の合間にも、話は続く。
「いやー、まずその話聞いた時に、絶対に明利さんにバレたんだなと思って。聞いてみたら案の定だったから、笑いを堪えるのに必死だったよ。」
「笑い事なんですか?」
「ん?だって、山之内さんは自業自得だろ?」
琉のその言葉を聞いて、恋は、そういえば琉も怒っていたことを思い出した。
「明希くんが何言われたかは知らないけど、傷つけたのは間違いないし。」
「…明希は…不妊だって言ったら、役立たずって、言われたみたいです。」
「…は?」
琉の箸が止まって、眉間にシワがよる。
「そりゃ翔也が怒るわけだわ…あいつよく標準語のままだったな。」
「翔也さんも、明希が言われた内容は知らなかったんですよ。この前、明利さんに話した時に、翔也さんにも教えたとか。」
「そうなのか…よく山之内さんのこと殴らなかったな。俺なら殴り飛ばしてるかも。」
「暴力は良くないですよ。」
「でも、もしもだよ?恋が不妊だったとしても、俺は翔也と同じで、恋が治療するっていうなら協力するし、絶対別れたりしない。」
そう言われると、嬉しかった。
「それをさ、役立たずとか言われて、黙ってられない。絶対にキレる。明希くんに言うのだって許せねえよ。」
琉はかなり怒っているらしく、そう言った。
「自分が愛してる妻を傷つけられて、黙ってられる旦那なんかいないからな。」
さりげなく、愛してる、などという琉に、恋は嬉しくなり、また、恥ずかしくなった。
「…って、佐藤さんが言ってた。」
「え?」
「まあ、俺も全く同じように思うけどな。」
「…ふはは!あははは!」
「えぇ?!何?!」
「いや…もう、今、さりげなく、琉さんが愛してるとかいうから、すごいドキドキしたのに、それを佐藤さんが言ったって聞いて、ドキドキ返せ!って思ってたんです。」
恋はクスクス笑いながらそう言う。
「でも結局、琉さんも同じだって言うから、なんかおかしくなっちゃって。」
「…ドキドキしたの?」
「へ?」
「愛してる妻って、ドキドキする?」
「そこを拾うんですか…?」
「そりゃ、気になるだろ。」
「ドキドキ、しますよ。」
「…恋はいつになっても反応が可愛いな。」
琉はクスリと笑ってそう言う。
「ご飯も美味しい、反応は可愛い、エッチの時はエロい。最高の奥さんだな。」
「最後のいりません!」
「なんで?大事だよ?」
「恥ずかしいじゃないですか!!」
顔を真っ赤にして、恋は琉の腕をバシバシと叩く。
「あ、こら、痛い。こーら!」
パシッ、と腕を掴まれて、顔を寄せられる。
「っ…」
「…ふふ、顔真っ赤だな。」
「う、うるさいです…」
「可愛い。」
そう言われて、さらに顔が熱くなる。
すると、チュ、と額にキスをされた。
「…愛してるよ、恋。」
「…俺も…」
こうして時々、愛を囁かれるのが、ものすごく幸せなことだと、恋は感じるのだった。
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