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〜琉side〜
6月13日
「おぉ…」
今月末、式をあげることになった琉と恋。
色々あった合間にも準備を進めていた。
「どう、ですかね…」
「うん、すごくいい。」
今日は、ギリギリになってしまったが、最後の衣装合わせに来ていた。
明希が着ていたような真っ白のタキシードを着ている恋に、目が奪われる。
当日はこれに、ブーケとベールが付くらしい。
「よくお似合いですよ。」
スタッフがニコリと笑ってそう言うと、恋は少し頬を赤らめた。
「琉様もご試着なさいますか?」
「はい。お願いします。」
恋に少し待っててもらって、琉もタキシードを試着する。
琉は、シンプルな黒いタキシードで、ベストだけグレーのものを選んだ。
恋は、ブーケまで全て白いため、琉も黒で統一したのだ。
「きついところとかありませんか?」
「大丈夫です。」
いざ、タキシードをこうして着てみると、結婚式をする実感が湧いて来る。
スタッフがカーテンを開け、恋と対面する。
「わぁ…」
「どう?」
「似合ってます…すごく…」
ふわっと微笑んで、恋はそう言った。
「ではこちらで当日用意しておきますね。」
「はい。お願いします。」
スタッフにお願いして、店を後にする。
「なんか、結婚の実感が今更だけど湧いてきたな。」
「俺もです。」
「そういえば、意識してそうしたわけじゃないけど、ジューンブライドだな。」
6月に結婚式を挙げると、花嫁は幸せになる…というヨーロッパの言い伝えが昔からある。
もっとも、日本は梅雨の時期でも結婚式が行われるように、というブライダル業界の作戦らしいのだが。
「明希たちもジューンブライドですよね。翔也さんの誕生日に式あげてますし。」
「あぁ、確かに。紘さんと千秋くんもそうなったりして。」
「ありえますね。」
今日は雨が降っているが、式当日は晴れるといいな、などと琉は考える。
「式もそうだけど、新婚旅行も晴れるといいな。」
「そうですね…せっかく琉さんと旅行ですし…」
思えば、恋と2人きりの旅行というのは初めてで、琉としても楽しみで仕方ない。
新婚旅行は、沖縄県の宮古島に行くことにしていた。
恋が国内旅行がいい、というので、一度行ってみたかった沖縄に足を運ぶことにした。
「まあ沖縄は梅雨明けしてるみたいだし、そんなに心配いらないか。」
式は23日で、その日は空港の近くにホテルに泊まり、翌日の早朝に出発、昼には着いて、その日から3泊4日を予定している。
沖縄の梅雨明けは6月中旬ごろと言われていて、すでに晴れ間が多くなっているようだった。
「旅行、楽しみです。」
「2人きりは初めてだからな。」
そう言って微笑み、恋の手を取ると、恋も手を握り返してくれる。
「結婚届は出しましたけど…やっぱり式を挙げるとなると、違いますね…すごく嬉しいです。」
少し照れたようにはにかむ恋が可愛くてたまらない。
憂鬱なはずの雨も、なんだか楽しくなってくる。
「はー…もう、早く式あげたいな。恋が奥さんです!ってみんなに見せびらかしたい気分。」
「嫌ですよ恥ずかしい…」
「でも式にはみんな呼んでるんだし、俺は自慢するぞ?」
「やめてくださいよ…」
「悪い虫がつかないように、みんなの前で見せつけないと。」
そう言って笑うと、恋が顔を真っ赤にして俯く。
「結婚したら、悪い虫なんてつかないでしょ…」
「どうかなぁ…」
恋は日に日に可愛くなっているように思うし、色気も増している。
むしろこれからの方が心配なくらいだった。
「結婚しても、万一ってことはあるだろ?宅配便の人とか、趣味で始めたなんかのスクールの先生とかさ…」
琉が真剣な顔をしてそう言うと、恋はきょとん、として、それから吹き出した。
「っぷははは!あははは!」
「なんで笑うんだよ。」
「だって…あははは!AVじゃないんですから、現実にそんなこと起こりませんよ!」
「…そんなのわかんないだろ。」
「真剣に悩みすぎですって。あはは、ほんと、おかしい。」
クスクスと笑う恋を見て、琉はむすっとする。
「大丈夫ですよ。もしなんかあっても、琉さんが助けてくれるんでしょう?」
恋にそう言われれば、琉はふっと微笑んだ。
「頼れる旦那さまがいますから、心配なんてしてませんよ。」
「…うちの奥さんは本当に煽るのが上手いね。」
「えっ?!」
ちょうどいいタイミングで家に着く。
恋の手を引いて、玄関の中に入るとすぐに、唇を重ねた。
「…ちょっと…びっくりするじゃないですか。」
「恋が煽ったから。」
「煽ってないです!もう…」
「可愛い奥さん、疲れてる旦那さまにご奉仕してよ。」
「…変態くさいですよ、琉さん。」
「えぇ?」
恋に無視されて、琉は仕方なく、恋の家事を手伝う。
こういうくだらない会話をしながら、一緒に家事をする…なんて、新婚の休日らしいな、などと、琉は思ってしまった。
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