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〜恋side〜
7月6日
「打て打て!シュートシュート!!」
「奏くーん!きゃーっ!!」
「突っ込めー!!」
様々な歓声が飛び交う、明教(めいきょう)大学の体育館。
奏が通う大学だが、今日はバスケットボールの試合が行われていた。
「奏くん決めてーっ!!」
1年生ながら、すでに有名な奏。
なんでも高校時代は、バスケットボールでかなりの成績を残していたらしく、この大学からバスケでの入学も声がかかっていたらしい。
本人は自力で行く、と言って好成績で推薦入学した。
「奏!そのまま打て!」
パシュッ、とゴールにボールが吸い込まれて行く。
恋はバスケに詳しくないのでよくわからないが、今ので3点入るらしい。
「わぁぁぁ!恋さん!奏さんが決めた!シュート決めた!!」
キャーキャーと隣で騒いでいるのは貴也だ。
元々、貴也に誘われて今日の試合を見にきたのだが、恋は終始圧倒されている。
(何がすごいって…この応援…)
ただの強化試合なのに、周りを見回せばたくさんの人。
特に女子。
奏だけでなく、他の選手も黄色い声で名前を呼ばれている。まるでアイドルだ。
明教大学のバスケ部は有名だと、貴也が言っていた。
ふと奏がこちらに気づいて、ニコッと笑って手をあげる。
「きゃぁぁぁ!奏くんがこっち見たわ!」
「私を見たのよ!」
「私に決まってる!」
周りの女子たちがキャーキャー騒いでいるが、実際は義兄の恋と、恋人の貴也に向かって笑ったのであって、決して女子たちに向けた笑顔では、ない。
「あはは…奏くんすごい人気。まだ入学して半年だよね?」
「奏さんは入学した時点で注目だったんですよ!バスケ部の先輩たちからも可愛がられてるって!」
どこかから得た情報なのか、本人から聞いたのか、貴也は自分のことのように自慢げに話す。
「はぁぁ…バスケしてる奏さん初めて見たけど…かっこいい…」
貴也がうっとりとした顔でそう言う。
確かに貴也の言う通り、バスケをしている奏は、いつもよりももっとイケメンに見える。
しっかりついた筋肉が見えているし、時々汗を拭くときに腹筋がチラリと見えるのも、女子たちを色めき立たせている。
本人はものすごく謙虚で、先輩の指示通り動くし、先輩にパスを出したり、自分本位のワンマンプレーはしていない。
それもまた、いいのかもしれない。
「はわぁぁ…惚れる…」
「…もう惚れてるよね?」
「そ、そうですけど…」
ポポポッ、と顔を赤くする貴也に、恋はクスクスと笑ってしまう。
「奏ぶちかましなさい!!いけいけー!!」
ちなみに、この声は眞弓である。
眞弓は他の選手の母親たちと一緒に、熱狂的な応援をしている。
恋たちとはかなり離れているが、それでもその辺にいる母親たちの声は聞こえてくるのだから、すごい。
「先輩!」
「奏打て!」
マークを振り切った奏が別の選手からパスを受け取り、シュートを放つ。
ボールが宙にある間に、試合終了のブザーがなる。
その直後、パシュッ、とボールが入った。
「「ワァァァァァ!!」」
「ブザービーターだ!!すごい!!」
「ぶざー、びーたー?」
「今、試合終了のブザーの後に、ゴールしたじゃないですか?あれをブザービーターって言うんです!」
後で調べたことだが、ゴールによってブザーが鳴らされたかのように感じることから、そう呼ばれるようになったそうだ。
試合の結果は、奏たち明教大学バスケ部の勝利で、会場は大盛り上がりだった。
「はぁぁ、すごかったぁ!」
大学構内にあるカフェが解放されていたので、貴也と2人でそこに入った。
貴也はまだ興奮しているらしく、ソワソワとしている。
暑かったのか頬も耳も真っ赤で、恋はクスリと笑ってしまった。
「奏さんめっちゃかっこよかったですよね!」
「そうだね。」
嬉しそうな貴也の話に頷いていると、廊下の方が騒がしくなる。
「なんですかね?」
「見に行ってみる?」
「はい!」
恋と貴也は声がする方に向かった。
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