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〜貴也side〜
奏に連れられて歩きながら、貴也は悶々としていた。
奏がかっこいいことは知っている。
そして、モテることも。
煌があれだけ学校でモテているのだから、奏はもっとモテるのだろうと、そう思っていた。
別に今更、驚くことではない。
だけど、あんなに黄色い声援を浴びて、いろんな女の人と話している奏を見ると、なんだか複雑な気持ちになった。
応援してくれていたお礼を言っているのだと、それくらい頭ではわかっているけれど。
自分はまだ中学生で、奏の隣に並ぶのには子供だということも理解しているし、奏にも付き合いがあるのもわかる。
女の人と話すのも、当たり前だとは思う。
自分だってクラスの女の子と話す。
でも、やっぱりモヤモヤする。
「どこか怪我してない?」
連れてこられたのは大学構内のどこかの講義室のようだった。
座らされて、そう尋ねられたので首を振る。
本当は軽く擦りむいたけれど、それくらいで怪我した、なんて言わない。
「よかった。突き飛ばされちゃった?結構荒っぽい人もいるんだね…」
「俺は大丈夫ですよ!」
俯いていた顔を上げて、精一杯笑う。
心がモヤモヤして、ぐちゃぐちゃする。
これが何か、なんて、答えは明白だった。
「貴也くん?」
「奏さん戻らなくていいんですか?俺も恋さん待たせてるし…帰らないと…」
素直に、女の子と仲いいのは嫌だって言えればいいけど、そんなワガママ、言えない。
恋人になれただけで、喜ぶべきだ。
「貴也くん。」
「なんですか?本当に俺なら平気っ…?!」
グイッと引き寄せられて、唇を奪われる。
「んんぅっ?!」
まだユニフォームの奏から、少しだけ汗の匂いがして、変な気分になる。
ついさっきまでみんなの前でプレーしていたのに、今は自分にキスをしている。
頭が混乱して、訳がわからない。
「んっう、ぁ、ん…」
舌を絡められて、息が苦しい。
でも、顎を掴まえられて、顔を動かすことができないし、腰にも腕が回されていて、体を離すこともできない。
「んっ、ん…ぅ、ん…」
体からどんどん力が抜けていく。
やっと唇が離されると、へにゃりとその場に座り込んだ。
「…ねえ、貴也くん。」
貴也と視線を合わせるためにしゃがんだ奏に名前を呼ばれる。
「は、はぃ…」
「俺、貴也くんにもっと悪い子になってほしい。」
言われていることの意味がわからなくて、首をかしげる。
「もっとワガママで、欲張りな子になってほしい。」
「そ、んなの…今だって…すっごく、欲張りなのに…」
付き合ってもらえているのに、女の子に嫉妬したり、奏を独り占めしたくなったり。
十分欲張りだと思う。
「…どこが?全然欲張りじゃない。」
「欲張り…だよ…奏さんが、女の子と仲良いと、モヤモヤする、し…かっこいい奏さんは、俺が…独り占めしたい…」
奏の顔を見ることができなくて俯く。
こんなワガママを言ってしまったら、嫌われるかもしれない。
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