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〜翔也side〜
「あーきーちゃんっ。」
「は、はいっ…!」
部屋に入って、ベットに腰掛け、明希を後ろから抱きしめる。
「AV、どうだった?」
ニヤ、と笑ってそう尋ねれば、明希は顔も耳も真っ赤にして俯く。
「え、えと…恋が、エロいなぁ、って…」
「あとは?」
「あと…攻め、の、人?が…なんか、すごいなぁって…」
そう言われて、ドキッとしてしまう。
パッケージを見たときに、攻め役の城田潤哉を見て、翔也は思わず叫びそうになった。
彼が、翔也の元セフレなのだ。
(明希ちゃんには話しておくべきかなぁ…)
「…明希ちゃん。」
「はい…」
「実はね、その、AVの攻めの人が俺の元セフレなんだよね…」
恋の結婚式に来ていたから、知り合いであることはわかったし、世間とは狭いものだ、なんて思ったが、まさかAVで共演までしていたとは思わなかった。
そもそも、潤哉がAV男優であることは知っていたが
恋と所属する事務所が一緒だったことは知らなかった。
「えっ?!あの人が?!」
「そう、うん、顔も名前も、合ってたから。」
「へぇぇ…あの人に、抱かれてた、んですか?」
「…まあ、そうだね。」
明希と出会って、旅行に行ったり、傑に会ったりした頃、潤哉とのセフレは解消した。
本気で向き合いたい人がいる、と言ったら、快く受け入れてくれた。
「ごめんね。」
「なんで、ですか?」
「俺って結構、汚れてるっていうかさ。適当に生きてきたから…琉みたいに本命一途、って感じじゃなかったし。」
「でも…翔也さんは翔也さんですよ?」
抱きしめている腕に、明希が手を重ねる。
「俺だって過去に、別の人に抱かれてたし…彼氏だって、傑以外にもいました。翔也さんにはそれがセフレだったってだけで…」
「…嫌じゃない?」
前にこの話が出た時は、軽く受け入れてくれたけれど、本当に嫌じゃないのか、嫌われないか、翔也は心配でたまらない。
明希は翔也の過去を責めたり、問い詰めたりしない。
けれど、本当は傷ついていたりしないか、心配だ。
「嫉妬、っていうのは、やっぱりあるかもしれないです…だって、あの攻めの人が翔也さんを抱いてたって思ったら、モヤモヤします。でも、嫌いになったりしないですよ。」
明希は振り返って柔らかく笑った。
「琉さんも、AV男優やってて、他の男の人に抱かれてた恋を嫌いになったりしないのと同じです。翔也さんだって、俺が逆の立場なら、嫌いにならない…ですよね?」
「…もちろん。」
「翔也さん。」
「…ん?」
「翔也さんが、俺の過去を克服させてくれたから、俺も翔也さんの過去を、忘れさせてあげます。」
ふわりと笑った明希が、翔也さんの頬に手を添え、そっと唇を重ねる。
「忘れちゃうくらい、俺とイチャイチャしましょ?」
「…もう…」
不覚にも泣きそうになってしまう。
「俺の奥さんイケメン。」
ぎゅっと明希を抱きしめて、肩に顔を埋める。
明希に会えたことを考えれば、あの七夕の夜、琉を家まで送らなくてよかったと、そう思う。
「ほんと大好き。もう、好きすぎてやばい。」
「えへへ…俺もー。」
ぎゅーっと抱きしめ返してくれる明希に、鼻の奥がツンとする。
「あーもう、やばい、泣いちゃう。」
「泣いていいですよー。どんな翔也さんも大好きですから。」
頭を優しく撫でられて、本当に涙が出てくる。
泣き顔なんて見せたくなくて、明希の肩にぐりぐりと顔を擦り付ける。
「ふふ、俺も翔也さんに頼ります。だから、翔也さんも俺を頼って?」
「…うん…」
「あはは、恋のAV見てよかった!」
翔也の涙には一切触れず、そんなことを明るく言う明希。
その手は相変わらず頭を撫でてくれている。
「なんか…結婚してからますます好きになったなぁ…明希ちゃんのこと。」
「えへへ、実は俺もです。」
「じゃあ白髪になる頃にはもっとラブラブだね。」
鼻をスンスンとならしながら、翔也はそう言う。
「ふふ、そうですね!縁側に座ってお茶とかいいなぁ。」
「明希ちゃん、大好き。」
「俺も大好き!」
過去のことまですっかり話して、心が軽くなる。
今後もますます、明希に惚れさせられるんだろうと思うと、翔也はものすごく幸せな気分になった。
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