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〜紘side〜
7月21日
「…はぁ…」
「…社長、またため息ですか?今度は千秋様に何か?」
秘書の本館が、コーヒーを淹れてくれて、そう言う。
「いや…俺自身の問題、だな。」
あれから、千秋を避けている。
千秋に無視されたことが気になり、モヤモヤとして、千秋と向き合えずにいる。
本当は、別れを切り出されたり、千秋が離れていってしまうことが怖いだけだ。
「千秋様と喧嘩でもされましたか?」
本館は鋭いと思う。
「…喧嘩、というよりは、俺が一方的に避けている。」
「なぜです?」
本館には、散々千秋の話をしてきたから、かなり驚いている。
紘が千秋を避けるなど、普通ならありえないからだ。
紘は本館に、先週あったことを話した。
「…それで、避けてらっしゃるんですか?」
「…まぁ、な。」
「社長よりも、千秋様の方が気にしてらっしゃると思います。」
「千秋が?」
「その後は、社長を無視していたわけではありませんよね?」
確かに、あのあとは、千秋から話しかけられたことが何度かあった。
けれどそれから逃げるように、書斎にこもっていた。
紘が何も言えず、黙っていると、本館は大きなため息をついた。
「社長は少し臆病ですね。千秋様は簡単に離れていったりしませんよ。」
「本館、それはどういう…」
どういうことだ、と聞こうとしたが、本館はお辞儀をして行ってしまった。
なんにせよ、問題は何も解決していない。
ここ最近、ますます千秋の表情は暗くなっているし、烏沢にいた頃に戻ってしまったようだ。
とにかく、このままではよくない。
「ん?」
そんなとき、紘に電話がかかってきた。
「…なに?」
相手は翔也で、今月末、日程を調整してほしい、という話だった。
「なんで?……え?そんなことするのか?!」
驚く紘に対して、翔也は、だって心配でしょ、という説明のみ。
「…わかった。頑張ってみる。」
その後、本館に相談したら、簡単にスケジュール調整をしてくれて、紘は休みを取ることができた。
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