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〜恋side〜
7月28日
「海だぁぁ!!」
「楓待ってー!」
「明希はやく!千秋も!!」
「今行くー!」
千秋に誘われ、楓、明希、傑とともに海にやってきた恋。
夏休みなだけあって、人も多く賑わっている。
傑が車を運転してくれて、5人だけでやってきた。
車中では楓と話をして、すっかり打ち解けたところだった。
「…かんっぜんにガキだな。」
隣でそう言う傑は、暑いというのに、パーカーを着て、しっかり上までチャックを閉めている。
そしてそれは、恋も同じことだ。
「明希と千秋は、キスマーク免れたのか…羨ましい。」
「傑も苦労してるんだな。」
「恋もな。」
恋人の考えていることが大体同じらしい2人は、顔を見合わせてため息をついた。
昨晩、琉は、明日は海に行くから抱くな、という要望には従ってくれたものの、主に上半身にキスマークをつけられ、とてもじゃないがパーカーを脱ぎたくない。
若干太ももにもキスマークがあるのが気になるが、この際それは、もう諦めるしかなかった。
「…傑は、抱かれた?」
「いや、それは全力で拒否した。」
「だよな。」
「恋!!傑!早く!」
明希と楓に手招きされ、恋と傑も浜辺に降りる。
キャッキャッと楽しそうにしている明希と楓の横で、千秋は微笑んでいる。
けれど、恋には千秋の表情が気になった。
「…なぁ、千秋、ちょっと変じゃない?」
「変って、どういうことだよ?」
傑をつつき、コソコソと話す。
「なんか、悩んでるっぽいっていうかさ…ちょっと前から様子が変だとは思ってたけど…」
「疲れてるだけなんじゃねえの?」
「うーん…なんか、浮かない顔してない?」
「…まあ言われてみれば…そんな気もするか…」
「2人で何話してるのー?琉さんに言いつけちゃうぞ!」
明希がニヤニヤと笑いながらそう言い出したので、結局傑との話は中断されてしまった。
「明希、余計なこと言ったら俺が死ぬからやめて。」
「えっ、なんで傑が?傑の彼氏、そんなに厳しいの?」
傑にも彼氏ができたことを、先ほど車中で話したので、明希は興味津々だ。
「厳しいっつか…なんつーか…」
(ドS…なんだろうな。うん。)
恋は心の中で納得し、傑に同情する。
琉にもSの気があるので、気持ちはよくわかるのだ。
「ところで2人は、なんでパーカー着てるの?」
今度は純粋な目で、楓にそう聞かれて、恋と傑は返答に困る。
「か、楓!そんなことよりかき氷食べない?!」
「えっ、うん!行く!」
千秋が気を利かせて、話題を変えてくれたので、恋と傑はありがとう、とアイコンタクトをした。
千秋はクスクスと笑っていて、明希も肩が震えているから、この2人には理由が完全にバレている。
「かき氷、みんなで買いに行こうぜ。なんかもう、誰か1人でも残して行くのはやばい気がする。」
傑がそう言うので、5人で海の家に向かい、かき氷を注文した。
明希がイチゴで、千秋がメロン、楓がレモン、傑は宇治抹茶という渋い選択をした。
恋はピーチがあったのでそれを選んだ。
「んまっ!つめたっ!」
「んー、暑い中でのかき氷最高!」
「美味しいね。」
明希と楓と千秋が並んで、貸し出してもらったパラソルの下に座り、かき氷を頬張る。
「…まじ小動物感。」
そんな3人を後ろから見る傑がそう言いながら、シャクシャクとかき氷を食べる。
「なんか、ちっちゃいよね、みんな。」
「それな。恋はなんだかんだ言っても170あるしさ。まあ並べば可愛いのは一緒だけど。」
「そう?」
「そう。」
恋もかき氷をゆっくりと食べながら、前の3人を眺める。
確かに、傑が言う通り、小動物感はある。
ちまっ、とした感じが可愛らしいのだろう。
「…つかさ、このメンツでナンパされたらどうやって乗り切んのよ?」
「…あは、それは考えてなかったわ。」
「…まじかよ。俺1人で4人も面倒見れんのか…?」
「さすがにこんだけ人いて、俺たちのとこに来ないだろ。可愛い女の子もいっぱいいるんだし。」
「そうかぁ…?そんならお前、千葉行ったときはどうなんだよ…」
「たまたまだよ、たまたま。」
そんなことを言う恋の考えはもちろん甘いのだが、そんなことを知る由もないのだった。
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