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〜恋side〜
「…ん、はぁ!生き返る…」
汗だくだった小雪に麦茶を出すと、一気に飲み干して、テーブルにぐでっと伏せた。
「…で、かくまってって…どうしたんです?」
「それがさ…僕、プロポーズされたって、いったじゃん…」
「は、はい。」
なんとなく、恋も明希も千秋も、緊張しながら話を聞く。
「それで、その、相手の人…真司(しんじ)くんって言うんだけど…真司くんのご両親に、紹介するとか言い出して…僕まだプロポーズ受けてないんだよ?!それで、逃げてきた。」
「「逃げた?!」」
3人で声を揃えて聞き返してしまう。
「そ、そもそも、小雪さんはローデンスにいたんじゃ…」
「それが、フリーエンジェルの社長に言われて、また日本で活動することになったんだ。で、帰国した矢先、いきなり迎えに来られて、両親に紹介したいです!って言われてさ…変なとこで行動力あるんだよ、あの子…」
小雪は大きくため息をつく。
「それで、俺の家に?」
「さすがに恋さんの家ならバレないだろうと思ってさ…どっかのホテルに泊まるより安全そうだから…ごめんね?!迷惑かけて…」
「それはいいんですけど…」
「なんなら、俺の家にもどうぞ?」
「明希ちゃぁぁぁん…ありがとぉぉぉぉ!」
「僕も…紘さんがいいって言えば、大丈夫ですよ。」
「千秋ちゃぁぁぁん!」
それにしても気になるのは、真司がどんな男なのか、だ。
「あの、真司さんって、どんな人なんですか?」
明希がウキウキとした様子でそう聞く。
すると小雪は、うっ、と黙り込んだ。
「僕も気になるかも。」
「えっ…うーん…とりあえず写真見る?」
小雪にそう言われ、恋たちはコクコクと頷く。
小雪のスマホに映し出された写真を見て、3人はピシッと固まった。
「…うん。期待してたのとは絶対違うよね、うん。」
小雪は1人、納得している。
「な、なんていうか…すっごく普通の人。」
明希がそう言った。
そう、よく言えば普通。悪く言えば、地味だ。
恋たちの周りの知り合いが、キラキラしすぎているだけなのかもしれないが、真司は本当にどこにでもいそうな男だった。
ボサボサの髪に、Tシャツ、ジーパン。特別イケメンでもない。
身長は、小雪と並んだ写真だから大きく見えるけれど、きっと170前半だろう。
ひょろっとしているわけではないけれど、紘などのように、筋肉がしっかりついているというわけでもなさそうだ。
「平凡でしょ?性格も平凡だよ。…いや、ちょっとヘタレかな…?」
「ヘタレ…」
明希がクスリと笑う。
「真面目で、どっかオドオドしてて、僕と出かけるのも緊張してるような、そんな子。」
そう話す小雪の目は、どこか優しい。
小雪はもうすでに、真司に惹かれているのではないかと、恋はそう思った。
「急に行動力発揮してさ…プロポーズもね?ローデンスの広場のど真ん中でされたんだよ?!びっくりじゃない?おかげでジル王子たちにもバレてさ…もう大騒ぎだったんだから…」
「すごいな…」
「ドラマみたいですね。」
「僕、ドラマでだってそんなプロポーズされたことないよ。」
小雪の困ったような表情に、恋たちは顔を見合わせて笑う。
「もー…笑い事じゃないんだからぁ…」
「まあとにかく…小雪さんの気持ちの整理がつくまでは、ここにいていいですよ?」
「僕はプロポーズ受けないよ?!」
「でも断ってないってことは、小雪さんも少し迷ってるんじゃないですか?」
明希にそう言われると、小雪は目を泳がせる。
「ま、まぁ、今は、僕たちとお話しとかして、楽しくやりましょう?」
「千秋ちゃん大好きぃぃぃ!!」
気を利かせてくれた千秋に、小雪が抱きつく。
千秋は楽しそうに笑っていて、恋は小雪が来たのは、千秋にとってはいいことかもしれないと、そう思った。
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