アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
*304
-
〜琉side〜
「あれ、成宮さんって、メガネ伊達ですか?」
「コンタクトです。メガネは緊急用に度入りを持ち歩いていますが、これは度は入っていません。それから、圭吾でいいです。」
「年上だし…圭吾さん、かな?」
「そうだな。」
「紘さんは呼び捨てでもいいんじゃないですかね?」
呑気にそんな話をしている琉たちは、メガネを取ったら、成宮圭吾は、執事としての成宮ではなく、傑の恋人としての圭吾になることを、知る由もない。
「…傑?」
後ろで恋たちと話していた傑の方を向き、呼び捨てにした圭吾に、琉たちは顔を見合わせる。
今日このメンバーに加わったばかりの真司ですら、圭吾に違和感を覚えているようだ。
「な、なんだよ…」
傑は恋の後ろに隠れるようにして、持っていたワイングラスをそっとテーブルに置く。
「…へぇ、酒も飲んだんだね?」
「そ、それは…一杯なら、酔わない、し…」
「え、傑二杯目だろ?」
「へぇ、二杯?」
明希を恨めしそうに睨む傑。
なんだか、雰囲気がおかしい。
「頬が赤いけど?」
「…酔ってないし。」
「あれ、なんかヤバイ感じ?」
「圭吾さんって…傑と、なんかあんの?」
琉と翔也は、ヒソヒソとそんな話をする。
紘はあまり気にしていないのか、ワインを飲んでいる。
真司は挙動不審に拍車がかかっていた。
「それに…」
それに、の後、傑が何を言ったのかは、こちらまで届かなかった。
ボソボソと何かを言っていたのだけはわかったが。
「…傑、お前酔ってんだろ?」
そう言ったのは恋だ。
「酔ってない。今のは…別に…」
「酔ってなくてもそう言うんだ…ふーん…」
なぜか恋にからかわれる羽目になっている傑。
圭吾の纏う空気は未だ冷え込んでいる。
「うるさいし。」
「傑…成宮さんが、怒ってるよ…」
千秋がツンツン、と傑を突き、なんとか場を取りなそうとしているが、傑はプイッ、と顔を背けるだけだ。
「傑、俺に言うことないのか?」
私、ではなく、俺、に変わった一人称。
明らかに圭吾の性格が、メガネを取ってから変わった。
琉も翔也も紘も、そのことにやっと気づいた。
「…別に、成宮に言うことじゃないし…襲われて、ないし。ちょっと捕まっただけだし…」
「"成宮"には言わなくてもいいかもしれねえけどなぁ…"圭吾"にはどうなんだ?」
傑はムスッとして、完全に恋の後ろに隠れてしまった。
さらには小雪まで使って、バリアのようなものを作り上げている。
翔也はそんな傑に吹き出してしまうし、真司は小雪が前に出されたことでワインを吹き出している。
「ちょ、傑…僕を盾にしないでよ。」
「じゃあ…明希。」
「えぇ?!俺ぇ?」
「千秋でもいいけど…なんかそれは俺の罪悪感が…」
「いいよ、僕も守ってあげる。」
なんだかんだと言いつつ、まとまり出した5人。
さっきまでは明らかに怒っていた圭吾が、きょとん、とする。
真司も固まってしまった。
「…うんまあ、いつものことだよね。」
「そうだな。」
「千秋、もう酔ってるのか…」
慣れている琉たちは、そんなことを言いつつ、クスクス笑う。
「あっ、いいこと思いついた!」
明希が突然そう言って、勝手知ったる様子で2階に上がっていく。
そしてご機嫌で戻ってきたときには、腕の中に恋が愛用しているぬいぐるみ2体がいた。
「ふふっ、これならいいでしょ!」
机の真ん中をささっと片付け、ドン、とそこにぬいぐるみを置く明希。
どやぁ!とでも言わんばかりの顔つきだ。
「あ、それならりゅーたろうの上にいるうさ太郎も…」
小さなウサギに、うさ太郎なんて名前をつけたらしい恋が、それを連れてきて、大きなウサギのぬいぐるみと、ハチミツ好きクマさんのぬいぐるみの間に置いた。
もはや誰も何も言えない。
「…いい。」
「だろ?!」
傑が思いの外喜んでいて、明希はさらにドヤ顔をする。
「…これはいつものことなんですか?」
圭吾がこちらを見て、そう言う。
「まあ、だいたい、ね。」
「いつもよりちょっと、拍車がかかってるけどな。」
「まあそれは、小雪と傑がいるからだろ。」
翔也、琉、紘にそう言われた圭吾は、深い深いため息をついた。
真司は1人、鼻血が出そうになるのを必死に抑えていたようだった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
511 / 832