アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
*334
-
〜恋side〜
9月30日 月曜日
「お誕生日おめでとう!」
「「おめでとー!!」」
「あ、ありがとう…」
みんなの学校やら仕事やらが終わったあと、赤津家に集まり、千秋の誕生日会を開いていた。
プレゼントを持ち寄り、恋と小雪が料理を作り、翔也がケーキを買ってきた。
それまでの間は、楓に千秋を任せ、準備が整ってから連れてきてもらったのだ。
千秋はみんなに囲まれて、照れてしまった。
「さ、千秋ちゃん座って!僕たちで料理作ったからね!」
「俺はほとんど作ってないよ…おぇっ…」
「わーわー!恋大丈夫?!」
「う…だいじょぶ…」
「本当につわり酷いな…先生なんだって?」
「無理せず自由に過ごすのが1番だって…」
「というわけでね!ミートソーススパゲティ、作ってみましたよ!恋さんがこれなら食べられるって言うからね!」
千秋の誕生日を祝いたい気持ちはあるので、小雪に頼んで眞弓から教えてもらったスパゲティを作ってもらった。
「恋、無理しないでね?」
「ごめんな、千秋。」
「ううん!こうやって用意してくれただけで嬉しいよ。」
「千秋ちゃんっていい子すぎるよね。もっとワガママになっていいと思うわ。」
「それな。紘さんもいつも言ってたし。」
「学校でもそうだもんねぇ。」
千秋はみんなに言われてオロオロとしている。
ワガママになる、というのは、千秋にとってはとても難しいのかもしれない。
「あ、あのっ、真司さんは?」
千秋が話題を変えるために選んだのは、真司の話。
「知らないよー!僕、なんでも知ってるわけじゃないんだからね?!遅れてくるとは言ってたけど。」
「そういえば傑くんも見当たらないね?まだ仕事?」
「傑は成宮さんと後で来るって言ってましたよ!なんか、プレゼントを取ってからくるって。どんな大っきいの持って来るんだろ。」
明希が楽しそうにケラケラと笑っている。
こうして見ると、人が多くてとても賑やかだ。
紘がいなくなってから寂しそうだった千秋には、いい場である。
「さて、じゃあちょっと先に始めちゃいますか!」
「そうだな。」
翔也と琉がそう言い、琉が買ってきてくれたスパークリングワインを開ける。
「恋はこれな。」
琉からパックのオレンジジュースが差し出される。
「ありがとうございます。」
「恋さんこれもね!」
小雪が麦茶と、スパゲティも目の前に出してくれた。
「はい、みんなお酒持ってー!」
いつのまにか、翔也が全員分のワインを注いでいて、みんなでグラスを持つ。
「かんぱーい!」
「「かんぱーい!」」
みんなで千秋を構いながら、ワイワイと楽しむ。
料理が半分くらい減った時、真司と、傑、圭吾がやってきた。
「お待たせしました!」
「遅くなってすいません。」
なんだかおしゃれな袋を持って現れた真司と、大きな袋を持った圭吾を引き連れた傑。
どちらも千秋へのプレゼントであることはわかるけれど。
「…なんだそのでかい袋。」
「ん?千秋に。」
「そりゃそうだろうけども。」
「ん、開けてみて。」
「う、うん、ありがとう!」
圭吾から受け取った千秋は、袋を開けて、中を覗く。
「えっ、すごい!」
「なになに?何が入ってたの?!」
「僕もみたい!」
興味津々で覗き込む明希と楓に、千秋は中のものを出した。
「…でか。」
恋は一言そう言うなり、ぽかん、としてしまう。
「もふもふだぁ!」
「超気持ちいい!!」
「かわいいー!」
座った千秋くらいあるクマのぬいぐるみ。
今千秋が持っているものと並べたら親子にでもなりそうだ。
「紘さんの代わりだとでも思ってくれ。」
「ふふっ、紘さんの割には可愛すぎるよ。」
千秋はそう言ってクスクス笑う。
「あ、あの、俺からもこれ…」
真司がおしゃれな袋をスッと差し出した。
「開けていいですか?」
「どうぞ!」
「うわ、真司くん金持ちなの?!これ超高級店のじゃん!」
出てきたのは香水とハンドクリーム、リップクリームがセットになったもの。
「俺、何がいいかわかんなくて…先輩に聞いたら女の子にはこういうのをあげるんだっていうから。」
「千秋ちゃんは女の子じゃないけど?」
「えっ、や、それは、その…」
「真司くん、なんて説明したわけ?」
「…その、誕生日にあげるプレゼントは何がいいのか、って…そしたら、勝手に彼女だと勘違いされて…」
「勧められるまま買ったわけね…」
小雪がはぁ、とため息をつけば、他のみんなはクスクスと笑う。
真司は1人でおどおどとしていた。
「ふふ、僕嬉しいですよ。ハンドクリーム使いますし。」
「そうそう!千秋は女子力高いから大丈夫ですよ!」
「ほんとそれね!学校でも怪我したやつに絆創膏出してて、そいつがうっとりしてたからね。」
「え?千秋ちゃんに色目使ってるん?その子ちょっと見に行こっかなー。」
「翔也、お前ほんとやめろ。」
その後もなんだかんだと盛り上がり、お開きになったのはもう23時を過ぎていたのだった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
542 / 832