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梓月と惠
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結局、講義には遅れた。
もうこの際そんなものはどうでもいいんだ。
それは今オレが危機的状況に陥っていることを物語る。ここは某ファミレスチェーン店。
まさか梓月と同じ大学だったなんてーーー。
あの後、2人して講義に遅れ、散々な気持ちで家路につこうと大学内を闊歩しているところを呼び止められた。
"「良かったら、お昼でも一緒にどうかな...?」"
************
窓越しに日がさしこみ、真新しいメッキ塗りの机に味わいにかけらも感じられないコントラスト。朝はコートが必要なほど寒々と風が吹いていたのにもかかわらず、窓から見える爽やかな樹木たちは、時が止まったかのように静まり返っていた。
なぜ、こんな。
沈黙がこれほど辛いものだったかと、独り身の俺は多少感心しながら、さらに硬く口を引きむすんだ。
今も安っぽいファミレスのメロンソーダをすすりながら、特に食欲もわかないメニューを俯いて見つめている。
「...惠...だよね?」
なぜか目の前の彼はホッとしたような顔をした。まだそうだとも、違うとも言っていない。が、彼は俺が藍堂 惠だと確信を持っているようだった。
そんなに変わってないかな。俺。
「...違います。」
「変な嘘つかないで?しっかり学校の名簿でも確認したし」
チッ
さすがに無理があった。大学内の友達も思いっきりにめぐむー!!と叫び回っているし、隠しているのは到底不可能だ。しかし......。
俺はもう一つの居心地の悪さに眉を寄せた。
ヒソヒソ....
少し離れた席の女子高生2人組がこちらを見ている。
「あの席の人めっちゃかっこよくない...?」
「ゃばー/////」
それ以外にもヒソヒソと...。
「お前といると...視線がすごいんだが...」
「それは僕だけのせいじゃないと思うけど...」
梓月が隣を見やる。
「ぇー。私あっちの方が好みかも/////」
「あーわかるー/////硬質な感じの美形だよね〜///」
また会話が漏れ聞こえる。もうひそひそ話とは言い難いぞ。お嬢さんたち。だいたいなんだ硬質って、生まれてこのかた美形だなんて言われたことがない(鈍感)
またメロンソーダをすすって、梓月を睨む。
「どうしたの...?」
右の髪を耳にかけながら見つめてきた。クッソ綺麗な顔と目がまっすぐに俺を捉えて離さない。やっぱり違う世界の人間だ。こんなのと一緒にされてたまるものか...。
ミルクブラウンのふわりとした髪。ダークブラウンの瞳。まつげなっが。
「...なんでもねえよ」
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