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自分勝手な貴方と嘘つきの私
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本文タイトルは「ゆ」さんによる小説「自分勝手な貴方と嘘つきの私」をそのままお借りしました。ゆさんのリクエストは「自作のキャラをSABUROに呼んでください。」というものでした。
コメント欄でお世話になっておりましたが、ゆさんの小説が未読だった私。まずは作品を拝読いたしましょう・・・しかしそこから私の苦悩が始まった(笑)
舞台は大学国文学科、しかも全員大学教授。私の超苦手の古文や和歌。しかも三人称の文章を操っておられる。うぐぐぐ。
45歳と34歳というドストライクな年齢でインテリは大好物ですが、イメージをキープしつつ自分なりのものにしなくては・・・夏休みと冬休みの宿題を1日でしなさい的なww
・本作の雰囲気を崩さないようにする
・未読の方でも理解できる展開
・既読の方のイメージをこわしてはならんぞ!
・これから読む方のネタバレになってはいけない
・本作の流れの妨げになる相反する内容は避ける
以上の点を考えて取り組んだので、なにやらぬるい仕上がりになりました。
ゆさん!ごめんなさいよ~~これが精一杯だよ~~~
という言い訳をしておきますww
リクエストって勉強になるな~~と今回そう思いました。やく8000文字のボリュームになりましたので、いつもよりちょっと長めです!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<1>
空気が柔らかい。
ホテルから外に出た黒木の肌は春の陽気をそう解釈した。街の中心部であってもここの空は広い。高いビルに阻まれた青白い空と違う澄み切った青が目に眩しい。
夕方の飛行機しか手配できなかった為、チェックアウトしてから千歳に向かうまでまだ時間がある。観光をするには中途半端であったし、ウキウキと名所を見て回る気持ちになれない。一人でなければ、あれこれと世話を焼き、情報を集めただろう。野川の嬉しそうな顔を見たいばかりに、たっぷりの時間を掛けてリサーチしたはずだ。自分一人を満足させるために、そこまでする気力は沸いてこなかった。
気持ちのいい季節くらい楽しもう、そう考えた黒木は大通公園を目的もなく歩くことにした。芽吹いたばかりの新緑に覆われた地面と灰色のアスファルト。人工物と自然が仲良く存在している。この土地は何処に行っても自然と人の手によるものが共存している。それもゆったりと・・・時間の流れすら東京とは違う。
「焼きとうきび」と書かれた屋台から醤油の焦げたいい香りが漂ってくる。北海道では「トウモロコシ」ではなく「とうきび」と言うらしい。話の種に一本買ってみようかと一歩踏み出した時、黒木の耳に通行人の会話が流れてきた。
「まだ早いよね。」「そうそう、だってまだ冷凍ものでしょ?」「やっぱり夏にならないとね。」
そう言われてみれば季節は春になったばかりだ。背丈を越える高さに伸びた太い茎に実がなるのはまだ先。鮮度が命のトウモロコシだから冷凍と旬では味が全然違うだろう。話の種とはいえ、せっかく食べるのなら美味しいほうがいいに決まっている。
黒木は焼きトウキビを諦め、噴水のあるエリアのベンチに腰掛けた。道行く人は皆この季節を楽しんでいるように見える。あちこちを指差し、テレビ塔をバックに写真を撮っているのは観光客だろう。ベンチに座って本を読んでいるのはたぶん地元の人間。色も素材も軽やかな衣服に身を包む女性の姿をみても、今の黒木には何も響かない。心の大部分、いや全てを占めている野川の事ばかりが思い出される。揺れるまつ毛、無防備な寝顔、穏やかな声。どれもが鮮やかに蘇るのに、本人がここに存在しない。それがとても理不尽なことのように思えた。
最近の自分は浮き沈みが激しい。たった一つの笑顔で浮足立ち、わずかに逸らされた視線で簡単に落ち込む。乗ってしまったら最後、止まるまで降りることのできないジェットコースターのようだ。そして自分は乗ってしまった・・・いつ止まるのかすらわからないというのに。そもそも止まるゴール地点が存在するのか?その答えだってないのだ。
カバンから本を取り出し読もうとしたが、活字は言葉にならず素通りしていくばかり。行を追っているだけで頭に入らずすり抜けていく。諦めて本を閉じてテレビ塔に目をやると時間は10:30を回っていた。
ブラブラ歩きながら目についた店に入り何かを食べよう。何か食べれば、その時は気が紛れるはずだ。本をカバンに戻し立ち上がる。
たとえ苦しいことの方が多いとしても、やはり野川の隣にいたい。食事を終えたら千歳に向かおう。キャンセルがあって早い便に空席がでている可能性だってある。その考えが気に入った黒木は歩き出した。先ほどよりは幾分軽くなった足どりで。
<2>
何故足を踏み入れてしまったのかわからない。目の前にあるDVDが並ぶ棚を前にして黒木は自分の行動の不明さに困惑した。百貨店が並ぶエリアを目指して歩いている途中、とあるビルの入り口に貼ってあったポスターが目に留まった。
「色々なかたちがある。」
その一行のコピーが黒木の心に響いた。白いポスターには、テレビを前にした二人の男性。近しい関係であることがうかがえる距離感で座る二人の姿に自分を重ねてしまったのだろうか。これから東京に帰る自分には不必要であるレンタルDVDの数々。映画はしばらく見ていないから今のトレンドが何であるか黒木は知らなかった。古の物語と詠まれた言葉の世界に埋没している時間に映画が入り込む余地はない。
とりあえず店内を一周して店をでることに決め、DVDのタイトルを目で追いながら足を進める。店内の一番奥にはテレビが置いてあり映像が流れていた。「シネマレストラン」のポップが画面の下に貼られている。
若い男性が机の引き出しを開け、その中に入っている差し入れを確認した。どうやら声を掛けた女性がそれを置いたようだ。そして向かいに座る男性社員。主人公はこの男を面白く思っていないーよくある図式だ。大して面白くないドラマだと思いつつ眺めていたが知らずに没頭していた。
同僚二人の関係が変わるかもしれない、そんな展開でドラマは終わった。ドラマで紹介された映画のDVDが棚にディスプレイされている。「第一回『kissing ジェシカ』」から始まり、何本かのDVDがポップと一緒に並んでいた。映画を紹介してレンタル客に訴求する仕組みだと気が付いた黒木は面白いアイディアだと感じた。紹介されているDVDがもれなく新作ではないあたりもいい。
「同性なんか絶対無理って思ってたけど、こういう流れならありかも。」
「何れにしても、好きだって言われたら意識はするよね。」
「あ~それはあるよね。好きになるかどうか別にして。」
「借りてみる?映画面白そうだったじゃない。」
女性二人が後ろにいたことに気が付かない程見入っていたことを知り、黒木はそそくさとその場を離れた。急ぎ足で店内を歩く黒木の頭には先ほどの会話が何度も木霊する。
『いずれにしても好きだって言われたら意識はするよね。』
絶対に告げないと決めた想いを言葉にしたら・・・野川は困惑するだろう。距離を置き、今まで築いた良好な関係は崩れてしまうに違いない。だから告げないことにしたのだ。でも・・しかし・・・もし・・・意識をするということは自分のことを考えてくれるということだ。好きになってくれるという夢物語を持ち出す気はない。野川の思考の中に、生活の中に自分の存在が食い込めるということは黒木にとって魅力的だった。否定されたら?その時は気持ちを削っていけばいい。少しずつ毎日それに取り組み、良き同僚として生きていく。
店を出て歩道に足を踏み出す。さてどちらに向かおうかと辺りを見回していた黒木の耳には、背後からゴロゴロという音。
「すいません。」
振り向くと、そこには穏やかな面持ちの男性が立っていた。自分とそう変わらない年齢に見える。そして彼の右手にはキャリーがあった。女性たちの会話に囚われ慌てて歩き出した結果すっかり失念した物-機内持ち込みができる一番小さなサイズのキャリーバッグ。
「あっ!」
自分の間抜けさ加減と同じ言葉を発してしまった事に苛立ちがつのり眉間に皺がよった。
「忘れ物ですよね?」
「うっかりしておりました。すいません、助かりました。」
男性は腕時計で時間を確かめるとニコリと笑って言った。
「さっきのビデオ屋で流れていた番組ありましたよね。そこに映っていたレストランに行くのですが、一緒にどうです?美味しいものが沢山ありますよ。」
黒木は見ず知らずの人間から誘われてついていくような男ではない。恵まれた容姿のおかげで、声を掛けられたり誘いを受けることは多々あったが、その手の付き合いは避けてきた。特に野川の論文に出逢ってからそんな気になったこともない。
ただ向かい側に立ち、キャリーを渡してくれる仕草が優しかった。知らない人間ではあるが、彼は大丈夫だと意味もなく思った。
「どこかで食事をするつもりでした。」
「そうでしたか。オープンしたばかりなので予約しなくても何とかなるでしょう。昼時に行ったら待ち時間なしで座るのは無理ですから。じゃあ、行きましょうか。」
黒木はコクリと頷いで男と並んで歩きだす。今日は、らしくないことばかりしていると考えながら。
<3>
「いらっしゃいませ。」
「二人なんだけど。ナンパしちゃった。」
友達なんだ、そんな言い方と変わらない軽さで彼は店員にそう言った。黒木はナンパされた自覚はなかったので驚いた。そして目をまん丸に見開いた店員の表情にまた驚く。
「マスター何言ってるんですか。冗談はやめてください。」
「だって本当だもん。レンタe-zoの前で声かけた。」
「よりによって何であそこなんですか。ギイさんが泣きますよ。」
「これくらいで泣くかよ。」
「泣きますって。」
「ほら、お客さんどんどんくるから。キイちゃんテーブルに連れて行ってよ。どこに座ればいい?」
店員はフウとため息をついて「いつものテーブルにご案内します。」と言ったあとテーブルに向かうために背を向けた。しかしすぐに振り返る。黒木は踏み出そうとしていた足を止めた。店員の表情があまりにも真剣だったから。
「僕はマスターを信じています。」
気持ちのこもった言葉だった。
らしくない行動にも意味があるのかもしれない。彼と出会ったことは何かを得る為ではないか、黒木はそんな予感を胸に抱いた。
<4>
「随分長くこの店に通われているようだ。」
「いえいえ、そうでもないですよ。」
「でも先ほどの彼とは親しい関係に見えましたよ。」
「キイちゃんは、俺の店のお客さんだったんですよ。今は俺が通う立場になりましたが。」
そういえばマスターと呼ばれていた。北国特有の肌の白さもあるだろうが、男性にしては色白である肌を見て店を開けるのは夜ではないか、黒木はそう推測した。
「雰囲気のいいお店ですね。」
「ですよね。活気があるのに煩くない。客は美味しいものを食べて笑顔を浮かべる。スタッフは軽やかにホールを回す。そして二人のシェフが作る料理は文句なしに美味しい。そして全員タイプの違うイケメン。人気店にならない訳がない。それでいったら貴方もかなりのイケメンですけどね。」
黒木はこういう時どう返答していいものかいつも迷う。「ありがとうございます。」「いえいえ、そんなことはありません。」どれも違うような気がするのでとりあえず笑顔を返事の代わりにする。野川の心からの笑みではないあの笑顔は返事の代わりなのだ。自分は何度あの笑顔を向けられた?
思考に埋まりそうになっていた黒木にメニューが差し出された。
「何を食べましょうか。ビール飲みます?」
穏やかな笑顔。そうだった、今は一人でいるわけではない。
「そうですね。」
「ここはそんなに北海道らしいものはないですが・・・この特大ボタンエビのアヒージョは迫力満点ですよ。味も保証付き。エゾシカのラグーもいけます。きたあかりとラクレットもオススメです。」
「きたあかり?」
「ホクホクのじゃが芋の種類です。男爵よりホクホクです。」
コーヒーを飲んだだけの胃袋がキュウと絞られる。実はとんでもなく空腹だったことに気付き黒木は苦笑を浮かべた。
「どうかしましたか?」
「自分で思っていた以上に空腹のようです。コーヒーしか飲んでいないことを忘れていました。これでビールを飲んだら回りそうだ。トウモロコシを食べておくべきだったかな。」
クスっと笑う彼がキャリーを指さした。忘れ物をした訳でも聞くつもりだろうか。
「仕事でこっちに来たんですね。それで今日帰る。」
「どうしてわかりました?」
「だってね、トウモロコシって言いましたよ。こっちの人間は100%「とうきび」ですから。」
「なるほど。ええ、今日東京に帰ります。」
「ラーメンとかジンギスカン、そんな料理のほうがよかったかな。」
「いえ、先ほどのおすすめが美味しそうなので、オーダーします。」
「ビールも?」
「もちろん。」
平日の昼間からアルコールを摂ることに共犯者めいた笑みが浮かぶ。どうやら楽しい食事になりそうだ。
<5>
ビールで刺激された食欲はどんどん皿を空にした。指先をオイルだらけにしながら殻をむいて食べるボタンエビは最高に美味しかった。エゾシカのラグーは初体験だったがクセがなく食べやすい。聞けば赤身のみで脂や筋をすべて取り除いてからミンチにするらしい。きたあかりは唸るほど甘く、口にいれるとホロホロとほどけてしまう食感。そして熱々の溶けたラクレットとの相性は抜群だった。
店内に会話が溢れ、客は皿に夢中。笑顔を浮かべ料理を口に含む。11:30には満席になり、ウエィティングテーブルにも人が座っている。特にカウンターの熱気は黒木の座るテーブルにも伝わってくるほど。柱の陰で厨房の様子は見えないが、シェフ二人の姿を見詰めているのだろう。
「このテーブルで告白したんですよ。」
いきなり言われて黒木は面食らった。そして次に発せられた言葉に驚く。
「12年も片思いしてました。」
12年・・・その途方もない時間を黒木は想像できなかった。それほど長く一人の人間を想い続ける。添い遂げるとは訳が違う。届かない想いを胸に秘め長い年月を生きていくのはどういう気持ちなのだろうか。野川の論文に出逢ってからの時間とは比べようもない。燻り続ける今の胸の内を何年抱き続けることができるだろうかと黒木は考えた。この苦しさを手放すことなく諦めることもせず、ずっと己の中に置き続ける・・・何年耐えられるだろう。そして、野川が誰かを選んでしまったら、その想いは消えてくれるのだろうか。
「苦しかった・・・ですか?」
ふり絞るように発せられた黒木の言葉に、彼は柔らかく微笑んだ。
「苦しい・・・そうですね、そうでしたね。でもそれと同じ位、一緒の時間を過ごして嬉しい時もありました。相手をとっかえひっかえする姿を見れば苦々しい気持ちになったし。そしてあまりに長すぎたから疲れちゃいましてね。」
「浮き上がったり沈みこんだりのアップダウンですからね、疲れて当然でしょう。」
「気が付いた時にはもう遅くて止める事ができない。恋は厄介です。」
そうなのだ。自分の事であるのに他人に誘導されてしまうように心がいう事を聞かなくなる。止めることができないから進む。しかし進んだところで先が見えない。そして熱だけがどんどん蓄積していく。
出口のない熱が心に溜まり破裂しそうになる・・・それでも出口がみつからない。
「あのレンタル店で女性たちが言っていたことは本当でしょうか。」
「どういう?」
「好きだと言われたら意識はする、彼女たちはそう言っていました。」
「人によるでしょうね。俺が好きだと言わなければ関係が始まることはなかったでしょう。でも俺は友達でいることに疲れてしまった。そしてお互い30歳を越えて少し弱り始めた。先の見えない将来や何歳まで店をできるのか、若さを失って生きていくことの意味。全部考えつくしても答えがない。だからもう止めようと思った。それでぶちまけた。」
「・・・想いが通じた?」
「恋人は無理だけど友達でいようなんて言われても俺が無理だったので、友達も止めるって言ったんですよ。ずいぶん考えたみたいですけど、一緒にいることを選んでくれた。今は二人ともベタ惚れ状態のバカップルです。」
彼の楽しそうな笑顔が胸に刺さる。12年苦しんだから彼はご褒美が貰えたのか?長く苦しめばゴールが得られる?
どちらも違うと黒木は思う。目の前の彼の恋愛と自分の恋は重ならない。
「キイちゃん。」
「先ほどの彼ですか。」
「キイちゃんも片思いをしていました。そして年上の相手と今は相思相愛です。」
年上・・・。
「どうしたら想いが通じるのでしょうね。」
「俺はぶちまけた。キイちゃんは・・・想いが通じたというより、想いを通わせた・・・かな。」
「それはどういう。」
「いつも笑っていてほしいから、自分も笑顔で傍にいるってね。素直にまっすぐ、その想いを貫き通した。キイちゃんが相手の心を育てたんです。心を奪われるような恋もある。でもキイちゃんは少しずつ少しずつ相手の心に入り込んだ。笑顔を埋め込んだ。」
笑顔・・・心からの笑顔が欲しい。あの曖昧な笑みではなく、本当の笑顔を。笑顔を貰うためには自分も同じでなければいけないということか。自分はちゃんとした笑顔を向けているか?野川を困らせるようなことばかりしている姿が思い出されて居た堪れない心持になる。
「だからきっと・・・気持ちが欲しいと急くよりも、笑顔を貰うことから始めたらどうでしょうね。」
「・・・なにも言っていないのに。」
「今まで沢山の人に逢ってきました。あ、仕事柄ね。悩みや自慢、今日の出来事。彼らは多くのことを俺に話す。だからね、わかるんです。ノー天気に今を楽しもうとしているのか、何かを抱えているのか。
見た目にまったく問題のない貴方みたいな人が思いつめるような表情を浮かべる。それは恋の悩みしか思い当たらない、それも年上の誰かを想い続けている。叶わないと諦めているのに止める事ができない、そんな所ですね。」
「いや・・・それは。」
「キイちゃんの話をしたときに、年上というキーワードを探りでいれました。貴方は反応した。」
「そんなにわかりやすいですか。」
「きっと何も知らないから見えるんです。これで貴方のことや相手のこと、仕事、様々はことを知っていれば、その情報が煙幕になる。知りすぎると見えなくなるものです。自分のことを客観視できないから誰もが悩むのでしょう。そうじゃなければ12年もかけずにとっくに解決していましたよ。」
黒木はカラカラと笑う彼を見て綺麗だと思った。見ず知らずの女性の言葉に囚われて荷物を持たずに店をでる姿は彼にどう映ったのだろう。どれほど思いつめた顔をしていたのか。
「頑張れなんて無責任なことは言いません。ただ、最後までその気持ちを否定しないでください。」
「否定・・・ですか?」
「間違っているなんて考えないでほしい。誰かを好きになる、それを他人が否定したとしても自分は最後まで自分の味方でいないとね。あまりに報われませんから。」
他人が否定したとしても自分の味方でいる。
叶わぬ、道ならぬ恋だと世間が言っても、募る想いを打ち消さなくていいということか。抱えきれなくなるまで大事にしていいということか。
黒木はスっと呼吸が楽になったような気がした。彼の言ってくれたことは解決の鍵ではない。でも・・・それでも、自分にとっては大事な言葉だった。何故なら黒木自身が否定したくないのだ、野川への想いを。
「貴方の心はあなたの物です。誰のものでもない。自分の心は自由ですから。」
黒木は言葉の持つ力を再認識した。人を苦しめるのも言葉・・・しかし、救ってくれるのも言葉であることを。だからこそ自分はそこに惹かれ、野川に出逢えた。
この想いは大事にしたい、それが自分の望みであれば自分を信じよう。結果を求めることに囚われないこと、そして野川の本当の笑顔を貰えるように、心からの笑顔を見せ続けよう。
野川に・・・会いたい。
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黒木がんばれ~~という私のエールを詰め込みましたww
せい
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