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蓮 2
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カーテンか開け放たれた窓から見えるのは、深海にも似た夜の空。
水の中から水面を見上げながら差し込んでくる太陽の光の道を進んで行く。そんな感覚に包まれていた。
ひたすら上へと浮遊していく。こぽこぽと気泡が肌を滑ってくすぐる。肺から空気が少しずつ抜けていき、足りなくなった酸素を求めて、大きく息を吸いこんだ。
「ん?どうした、蓮?」
田上さんの声は耳から入ってきて頭の中をかき回す。
「きもちい・・・」
「ああ、気持ちいいな。」
そう、いつも田上さんとのセックスは気持ちいい。他に比べるものを知っているのかと問われたら何も知らない。
けれどそれで良い。もう必要なものは全てここにある。
田上さんの手が触れたところが熱を持ち、その熱が身体を侵食していく。
何も考えられなくなる。歓喜と狂おしいほどの想いがない混ぜになり思考が混濁する。田上さんは考えなくていいと言う。
だとしたら、言われた通り素直に肌に触れる熱に溺れればいい。
与えられる感覚だけをひたすら辿る。その先にある痺れにも似た甘露な感覚を覚えている身体は自然と手の動きに呼応して柔らかく溶けていく。頭を包み込むように手を添えられて耳が塞がれて深海へと潜っていくようだ。
「ん・・・・」
「どうした?今日はなぜかいつもより息が上がるのが早いな。」
「どうし・た・のかな・・。そと・・きれいで・すね。」
二重ガラスになっている窓は直接外の温度を伝えてくるわけではないが、時折背中に当たる硝子は夜の冷たさを教えてくれる。ひやりとした感覚に振り返る。そこに見えるのはギラギラとした輝きではなく、夜に溶け合う青白い光の渦。東京の夜景とは輝き方が違う。
「お前、俺より外を気にしているの。余裕だね。」
「え、ちが・・あ・・・。」
「そろそろ、こっちに集中してくれないと困るかな。」
「たく・・み・さ・・あっ・」
胸の敏感なところを強く刺激され、身体がくっと反りかえり、つと顎が上がる。頭を後ろに倒したために晒した首筋を舐められた。ぞわぞわと腰の中心から痺れが広がっていく。
「外か・・・確かに綺麗だな。」
「え・・・。」
窓をちらりと見た田上さんは俺の体を反転させると、俺に両手を窓ガラスにつくようにと言った。肩越しに田上さんの顔が窓ガラスに映って見える。
「このまま外を見ていていいよ。」
夜のとばりの中に浮き上がった田上さんのシルエットは眼下のイルミネーションに彩られている。
「い・・じが・・・わるい・・・。」
その一言に、くっと笑う田上さんがいて。その顔が色っぽくて素敵だと思う。
ああ、もう俺はこの人に細胞の一つ一つまで侵食されてしまっているんだ。仕方ないんだと、考えることを放棄した。
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