アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
68
-
『取らねぇーよ。ちょっと話すだけだ』
そう言うと、ならいいよと許可を貰って姫宮を連れて病院の屋上へ行く。
「えーっと、千秋さん?何の御用で?」
『…あのさ、俺は裏のあんたに話があんの。偽りの表はいらねぇよ』
いい子ぶる奴は嫌いだ。
「…チッ…何なの?春斗と私を引き離すつもり?!」
『川瀬と本当に付き合ってると思ってんのかよ。階段から落とさせて、川瀬の記憶を奪って偽りで付き合って。それでお前は満足か?俺だったら虚しくなるけどな』
俺もそうだった。
川瀬を無理やり抱いて、身体は俺のモノでも心が俺のモノではないとわかった瞬間どうしょうもなく虚しくなった。
それでも途中まではそのままでもいいと思っていたけどな……。
自分の所為で辛そうにしている川瀬を見るのが嫌で、川瀬の手を離した。
姫宮もそう思っているはずだ。
「わ、私は……それでも…春斗の事がっ」
『好きか?川瀬の気持ちはお前に向かないのに?』
「……本当は、春斗を私のお父様の病院に入院させて私の傍にずっといるようにしようって思ってた。だけど…」
そこで言葉を詰まらせて、涙を流す姫宮。
多分、薄々感じてたのだろう。
川瀬の傍にいても、どれだけ嘘を重ねても本当にはならないと。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
68 / 109