アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
其の七
-
そして、その日から毎日、枕もとには季節の植物やら、甘味やら、果物やら、面白い書物やらが置かれるようになったのです。
「明日は何が置いてあるのでしょう。楽しみですね、……、」
最近、明日は何があるのだろうと楽しみにしてしまうから、誰かに話したくてたまらないのに、僕には話す相手がいないのです。
侍女は事務的な最低限の会話のみで、世間話なぞしてくれません。
おかげで離れに来てからこの四年、独り言が多くなってしまった。
昨日置かれていて、まだ読み終わっていない書物に、去年、最初に置かれていた青もみじの栞を挟みます。
数多貰った物の中でも、やはり一等気に入っているのはこの青もみじなのです。
侍女に今朝の贈り物の白桃を切って貰い、それを齧りながら庭を眺めます。
あの青もみじから、一年が過ぎました。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
8 / 47