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引っ越し-壱
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あの騒動から、二月余り。
青もみじから、紫陽花の美しい季節になった今日。
ついに僕は離れから母屋へと、引っ越し致しました。
「さあ、葵。ここがお前の部屋だ」
「う、わぁ…。こんな立派なお部屋…本当によろしいのですか?」
僕のために用意したという部屋は、ただでさえ立派だと思っていた離れの部屋よりも広く、装飾も美しい。
「当たり前だろう。お前のためにこの部屋をしつらえたんだ。ここは俺の書斎からも朱雀の部屋からも近い。
荷物は運ばせてあるが、足りないものがあったら言いなさい。
さあ、内装は後でゆっくり見るといい。次は寝室だ」
「寝室…?あの、このお部屋をいただきましたが…」
「何を言う。ここは昼間、お前が読書なんかの好きなことをするための部屋だ。寝室は俺と同じに決まっているだろう」
「え、っえええええ!?しし、寝室は鷹仁様と同じなんですか!?」
そんな、恐れ多い…!!
「…なんだ、不満なのか?」
むすーっとしてしまった鷹仁様に、慌てて訂正する。
「いいい、いいえ!!!そんな…!!でもあの、僕なんかが鷹仁様と同じお部屋で休むなんて…」
「なんか、などと言うな。俺はお前が何より大切なんだ。
良いか葵、お前はこの俺の妻だ。運命の、唯一無二だ。
お前を貶すことはそれ即ちこの俺を侮辱することと同じだ。
よって誰もお前を貶さないし、軽んじない。
たとえお前でも、お前を貶すことは許さない。覚えておけ」
「は、はい…」
なんだか、ものすごく恥ずかしいことを言われたような…。
確信犯なのか、鷹仁様は満足げに笑ってから、赤面した僕の手を引いて寝室に向かいました。
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