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4.最終課題合宿2
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「っしゃあ!!」
担任の教員室を出た瞬間、思わずガッツポーズをする。朝から担任に呼び出されたときはもうダメかと絶望したが、良い方の知らせだったみたいだ。
プライドを捨て、渡良瀬に助けを求めてからちょうど2週間。俺は落としかけていた単位をほぼ全て取り返し、残りの1つも最終課題を出せば単位がもらえるらしい。そうすれば、進級できる!
ただ、1つ問題なのは――
「これ、終わんのかな……」
紙袋に底が破けそうなほど詰め込まれた、この課題の山だった。
まあ、嘆いていても仕方ない。とりあえず渡良瀬に報告するか。そろそろあいつも学校に来ている時間のはずだ。
ところが、教室に戻っても渡良瀬の姿はなかった。それどころか、授業が始まっても渡良瀬の席は無人だった。
渡良瀬と同じ電車で来る奴らは皆来ているから、電車が止まっているわけではなさそうだ。
今度こそ本当に風邪でも引いたかな。見た目的にあいつ身体弱そうだもんな。
何なんだよ、せっかくいい知らせを聞かせてやろうと思ったのに。
授業もろくに聞かずそんなことを考えていると、教室の重い引き戸が開く音がした。反射的にそちらを見る。来たのは、渡良瀬だろうか。
しかしそこにいたのは俺の予想していた人物ではなく、いつもの遅刻魔だった。一気に全身の力が抜ける。確かこいつも進級が危ないはずなのだが、遅刻魔はこんなときでも平常運転だ。
いやそれは置いといて、なんで俺、こんなにガッカリしてんの。いいじゃん、小うるさい奴がいないんだから。
最初から最後まで1人で過ごす昼休みも久しぶりだった。以前ならそれが普通だったのに、なんとなく気が滅入る。
さっさと昼飯を済ませて、渡良瀬と勉強するーー最近はずっとこのスタイルだったからな。おかげで、ほとんどの単位は取れた。
今日は、渡良瀬がいない。勉強を教えてくれる奴がいない。なら、この教室に留まる意味はないか。
そうだ、俺は寂しいなんて女々しいこと思ってるんじゃない。進級のための勉強が進まないから、ここにいる意味を感じられないだけだ。
「……帰ろ」
予鈴が鳴り、実習室へ移動を始めるクラスメイトたちを横目に、俺は鞄を持って駅へ向かった。
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