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俺は、あの日夢の中で、
鮮やかな景色を見た。
海があって、空があって、向日葵があるような。
そんな景色。
波が押し寄せてまた戻っていく。
雲が右にゆっくりゆっくり動いていく。
向日葵は風になびいてゆらゆら揺れている。
それを俺は、一人で見ていた。
不思議と孤独を感じなかった。
夢の中だからかもしれない。
だって今の俺には、
みのべくんがいるから。
みのべくんがいるから、
一人の時は、孤独に感じる。
それは幸せ。
*
次の日、みのべくんの熱は完全に下がっていた。
元気元気!とマッチョポーズをして俺にアピールをするみのべくんは健気でならない。
とりあえずは治ってよかった。
よく考えたら、これからもこういうことがあるんだよな。
保険証とかがないと、俺、これからみのべくんが病気になる度に借金とかしなきゃになるな。
それだとみのべくんに迷惑かかるし……
……働くか。
いや、無理だな。
しばらくは色々して貯めた貯金があるし、高校も払ってねえから辞めたも同然だし……まあ大丈夫だろう。
無くなったらその時考えよう。
俺がそうこう考えてる内に、みのべくんは朝のテレビを観ていた。
あー、テレビの中の人凄い元気。観てるこっちが吸い取られそうなくらい元気。
それをみのべくんはニコニコしながら楽しそうに観ていた。
……俺はみのべくん見てればいっか。
こういう、今のほのぼの感は嫌いじゃない。
今までは一人だったからって言うのもあるけど、俺を認めてくれる人が家にいるっていう安心感もある。
きっと俺が俺を認めるだけじゃ、一人だから荷が重すぎたんだな。
二人で分けて認知していけば、つらくはならないとみのべくんとの生活で知った。
みのべくんは尚もニコニコとテレビを上機嫌で観ている。
その顔を見ていると、こっちまでニコニコできる。
作り物のテレビなんかより、
みのべくんの本物の笑顔の方が
安心できて幸せな気分になれる。
今日一日は、
熱が下がっていたから、
沢山良いことができた。
こんな毎日が続けばいいな
と、ふと、思った。
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