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みのべくんは賢い。
それはもうそろそろ大人になる俺を
遥かに凌駕するほど。
賢いから、とても不安になる。
いつか、俺を置いていくのではないか。
……そんなことさえ一瞬忘れてしまうほどに、
みのべくんは、優しい。
***
ある夜のみのべくんは笑っていた。
……俺の寝顔を見ながら。
幸せそうに。
俺が、薄目で見ていたみのべくんの笑顔は、夢ではなかった。
「えへへ」
小さくそう一言漏らし、優しく俺の前髪を流してから
再び布団に潜る。
その時でさえも、ずっとずっと優しい笑顔を崩さなかった。
その笑顔は、夜なのに、太陽が出ているようだった。
……なんだこれは。
みのべくんすごく大人じゃないか。
いつの間にこんなに成長したんだろう。
まるでジェントルマンだ。
一日一日、少しずつ成長していくみのべくんは本当に素晴らしいと思う。
毎日見ているのに、毎日驚かされる。
そんな大人びたみのべくんを、甘やかしたい、撫でたい、そんな衝動に駆られつつ、俺は眠りについた。
俺はその日、珍しく夢を見た。
みのべくんが、本当の親に会って、本当を知る夢。
その時のみのべくんの顔は思い出せない。
でも、なぜだか俺は悲しくなった。
「こんなこと」も、いつかはあるのかもなと思うと、胸の痛みは一層強くなる。
でも、「こんなこと」がいつかあったとしても、みのべくんは俺の傍に居てほしい。
傍に居て、俺を見ていてほしい。
こんなの俺のわがままだけど、
……いずれ時が来たら。
いずれ時が来たら、話そう。
「こんなこと」になる前に。
そして、その時には
きっと。
きっと…………。
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