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ねえねえ。
みのべくんは、僕を嫌いにならないよね。
なんで?
ふふ、そっか、優しいもんね。
でもね、
僕は君の優しさで心がほろほろ崩れていくんだよ。
......いや、これは、君のせいじゃない。
みのべくんを攫った、
過去の僕が、
一番に僕を傷つけるんだ。
***
ある日、目を覚ますと
みのべくんが朝ごはんを作ってくれていた。
危ないからなかなか調理台には近づけさせていなかったけれど、それでも手際はよかった。
とんとんとんとん、
軽く優しく刻む音は、小気味がいい。
久しぶりに聞く幸せな音に惹き込まれながらも、
とりあえず挨拶を言っておこうと思った。
「みのべくん、おはよう」
「おはよう!おにーちゃん!」
「今日みのべくんが作ってくれるのか、楽しみだよ」
「ありがとう、がんばるねー!」
そう言ってみのべくんはまた手を動かし始めた。
小さい身体が包丁の動きに合わせて上下に揺れている。
かわいくてかわいくてたまらないが、
抱きついてしまうとみのべくんの手が切れるかもしれない。
一応そこは、自重しておいた。
「みのべくーん、まだー?」
「ふふ、待ってね、あとは焼くだけ!」
みのべくんは笑って答えてくれた。
かわいい。
しばらくテレビを観ながら待っていると、
『ジュゥゥゥ』という音と共に、
完全にお腹のすく匂いが僕の鼻に届いた。
そして、僕のお腹も『グゥゥゥ』と鳴った。
「おにーちゃん、あともう少しだよ!」
「えっ、へへ、ありがとう、みのべくん」
聞こえてたのか、恥ずかしい。
腹の虫の鳴き声を聞かれた恥ずかしさを隠すように、
またしばらくテレビを観て待っていた。
ぼーっとテレビを観ていた僕の前に、
美味しそうなおかずとほかほかのご飯が置かれた。
にらたま、
もやしチャンプル、
そして、
良い色で焼けたソーセージ。
これを今から僕が食べられるのだと思うと、
見ているだけで笑顔が止まらなかった。
思いは同じだったのか、
次の瞬間、
僕とみのべくんの大きな声が部屋に響いた。
「「いただきます!!!!!」」
朝ごはんだからか、
それともみのべくんが作ったからなのか、
その日のごはんは、
格別に美味かった。
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