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みのべくんは、賢い。
俺が教えた足し算も引き算も、すぐ覚えた。
こんなに賢いみのべくんなのだから、いつか俺のところから離れていくのだろうな。
お母さん、お父さんに会いたいからと言って、どこかへ行ってしまうのだろうな。
管理体制をもっと整えた方がいいのかな。
……まだ、様子を見ておこう。
***
朝。
みのべくんは眠そうに目をしぱしぱさせながら、
「おはようおにーちゃん、お料理してくるね」
と台所へ向かっていった。
みのべくんが台所へ行ってからしばらくして、ウインナーの弾ける音が聞こえ始めた。
パチパチ、パチンと静かな朝にこだまする音。
さすがに火傷をしてないか心配になって、みのべくんの様子を見に行こうと思い、立ち上がった。
少し台所の扉を開けて、火傷をしていないかの確認。
「みのべくん、火傷してない?大丈夫か?」
ひょいと覗いた俺に驚いたのか、みのべくんは目を丸くしていた。そしてふんぞり返って鼻息を荒くしながらこう言っていた。
「大丈夫だよ!やけど防止のためにちゃあんと長袖を着たんだから!」
なるほど確かに長袖は効果があるようだ。俺には油がかかってきて火傷のキリがなさそうなんだが、みのべくんには一切その様子が見られない。賢いな。
「えらいねみのべくん、ちゃんとそういうの出来るんだ」
成長を感じた俺は、みのべくんをそっと撫でてやった。
「もう6才だからね、おにーさんだから」
そう言いながらも、撫でられながら目を細めて気持ちよさそうに笑うみのべくんはまだまだ子供だ。
かわいい。
少しの間撫でていようと思ったら、みのべくんはすぐ我に返った様子で俺を急かしだした。
「おにーちゃん、座ってて!もうそろそろ出来上がるから!」
慌てて完成させようとするみのべくんも、かわいらしい。
「わかった。座っておくね、待ってる」
「うん!待っててね!」
小さな体で大きめのフライパンをせこせこ動かすみのべくん。
俺用の大きな皿にたくさんのウインナーを乗せていくみのべくん。
そしてそれを、座って待っている俺のところに微笑みながら持ってきてくれるみのべくん。
最高。
「ほら、出来たよ!たべよ!」
「うん、そうだね、みのべくん」
今日も美味しいみのべくんの朝食を食べられて幸せだ。
朝食のメニューは割とメジャーな組み合わせだった。
白ご飯にウインナー、目玉焼き、茹でたブロッコリー、そして味噌汁。
THE 家庭料理って感じだ。
もちろん美味しかった。
俺は、
俺がみのべくんの手料理を食べている間、
みのべくんは、
何を考えているのか?
それだけが気になる。
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